老犬の虫よけ対策
2018.06.26
暑くなってくると、屋外に出るときにノミやダニだけでなく蚊にも注意が必要になってきます。できるだけ近づけたくないと感じる飼い主も多いのではないでしょうか。
若いころに比べて、体質の変化や抵抗力が弱くなっている老犬の虫よけ対策はどのようにしたらよいのか、まとめてみました。
昔から日本の家庭に根付いている「蚊取り線香」。独特に匂いや煙があり、殺虫成分は老犬にとって大丈夫なのか心配になる方も多いようです。
蚊取り線香の原材料は「防虫菊」という植物から分泌されるピレスロイド(天然ピレトリン)という成分と染料やでんぷんなどを混ぜた合成品です。「主成分であるピレスロイドは昆虫には殺虫効果を示しますが、人間や犬などの温血動物(哺乳動物)に対しては体内の分解酵素の働きで代謝分解されて体外に排泄される」と蚊取り線香の説明書きにも書かれており、概ね問題ないとされているようです。
ただ、成分自体は問題なくても煙を吸い込むことは呼吸器系の持病がある人や老犬にとっては良いことではないので、使用する場所や燃焼時間を考慮して使いたいものです。また大量に食べると中毒を起こす可能性があるので、口の届かないところで使用しましょう。
老犬の首に「ノミ取り首輪」を使用している方も見かけます。
安価でどこにでも売っているノミ取り首輪は、ノミを殺虫する効果があるものよりも、寄せつけないようにするものが多いようですが、皮膚の弱い老犬ではアレルギーなどを起こすこともあるようなので、注意が必要です。
また、染み込んでいる成分は有毒なものが多いので、舐めたり口にしないよう注意が必要です。首輪についている成分がどういったものなのか、注意書きをよく読んでから使用することをお勧めします。また、ノミは首回りだけに付着するのではなく、体全体に付着するため、首回りを避けて背中やお尻についてしまっては意味がありません。
市販の虫よけスプレーの合成成分を嫌って、アロマを使って手作りスプレーを使用する飼い主も多くいるようです。
嗅覚が鈍った老犬といえども、香りや使用する精油の種類など、十分に注意が必要です。
また、精油自体が使い方によっては犬にとって有害なので、取り扱いにも気をつける必要があります。とくに犬以外に猫や小動物、小鳥、爬虫類がいる家庭での使用はおすすめできません。
虫よけ成分があるとされるティーツリーは中毒性の注意喚起が増え、海外ではマッサージやシャンプーに使用したことで発症した中毒症例も多く出ていますし、屋外で使用する虫よけスプレーですから、柑橘系の光毒性にも注意を払う必要があります。
精油の種類はたくさんあり、すべてのアロマが使用できないわけではないので、専門家のアドバイスの元で、種類と量に注意を払いながら上手に使用することをおすすめします。
ノミの予防と駆除をするには、動物病院で処方される予防、駆除薬を使用するのが効果は確実です。体力の弱い老犬の場合は使用には慎重になると思いますので、主治医とよく相談して、最適な方法を選んで、快適に過ごせるよう工夫してみてください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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