教えておきたいコミュニケーション方法
2019.01.15 (老犬ケア)
愛犬に指示を出すとき、たいていの飼い主は「おすわり」「おいで」と声をかけます。
指示や命令に使う仕草や言葉をプロの方達は「コマンド」と言いますが、コマンドには声だけでなく他にもいくつかの方法があります。
声で指示することを「声符(せいふ)」といい、手で指示することを「手符(しゅふ)」、身振り手振りで指示を送るコマンドを「視符(しふ)」といいます。声で指示することは日常的にありますが、声だけでなく手符も併せて教えておくと、老犬になった時にとても便利です。
老犬になると、耳が悪くなったり、目が悪くなったり、飼い主さんとのコミュニケーションがとりにくくなってきます。それでも、大切な愛犬とのコミュニケーション方法がたくさんあれば、いつでも愛犬に指示を出すことができるのです。今日は老いた時に便利なコミュニケーション方法をまとめてみます。
「おすわり」と声をかけて座らせていた場合、声と同時に人差し指を立てて愛犬の顔の前へと出します。座ったら1秒でも早く、良く褒めます。動作ができた瞬間に褒めることが大切です。手の動作はいろいろあるので、家族で統一したものを決めてください。
最初は声の指示に反応して座っている犬も、同時に出てくる手の指示を見ることで、声と手の両方の指示を覚えていきます。繰り返し練習したあと、次の段階は声を小さくしながら、手をしっかり見えるように愛犬の顔の前に出し、座ったらよく褒めます。
声よりも手の指示を優先していくと、「この手はおすわりの合図」と覚えてくれます。最後の練習は声を出さずに、手の指示だけで座れるようになれば、理解したということになります。
この方法をマスターすると、老犬になった時に視力が衰えても声だけでオスワリができますし、耳が悪くて声が届かなくなっても、手の指示で座ってほしいことを伝えることができます。
しつけの練習は、常に犬が落ち着ける環境で進めることが有効です。家の中での練習なら、携帯の電源を切り、テレビも消して練習しましょう。犬の集中力はそれほど長くないので、10分~15分程度の練習で切り上げます。
犬にとって誘惑の多い場所での練習はなかなかうまくいかないことが多いので、成功体験を多くして、たくさん褒めて練習を進めるためにも、練習しやすい環境を整えましょう。練習を終える時も、必ず成功させて褒めたところで終わるようにします。
1回の練習で教えるコマンドは1つにします。一度にたくさん教えようとしても混乱してしまうだけなので、別のコマンドを練習する時は一度休憩をはさんでからにします。ただ、無理は禁物です。しつけは愛犬も飼い主も楽しく学ぶことが大切なので、長時間や飽きても続けるような練習は避けましょう。
「待て」や「伏せ」などの手符を教えておくと、声を出しにくい場所や声が聞こえにくい場所でも、愛犬に指示を出すことができるのでとても便利です。
愛犬が老いた時の準備として、ぜひいくつか教えてみてはいかがでしょうか。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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