老犬の異常な食欲
2019.02.28 (老犬ケア)
犬は決まった回数の食事を飼い主が管理しているので、勝手にご飯を食べることはありませんが、急に食欲が旺盛になって、何度もご飯を催促してくるときは、何らかの病気や身体に変化がでている可能性があります。ご飯を食べたばかりなのに、何度も茶碗を持ってきたり、カチャカチャと音をたてるなど、あきらかに食欲に異常がある場合は、少し病気も疑ってみましょう。
気になる老犬の食欲についてまとめてみます。
■認知症(痴呆)
高齢犬の場合は、認知症(痴呆)が原因となって食欲異常が現れる可能性があります。人にもありがちな症状ですが、記憶障害から食べたことを忘れてしまい、食べたばかりあっても空腹だと勘違いしてしまうのです。認知症を進行させないためにも、早めに獣医師に相談しましょう。
■脳腫瘍
認知症(痴呆)を発症するほどの年齢ではないのに、あきらかに行動としておかしい場合は、脳の病気を疑ってみましょう。脳に腫瘍がある場合は食欲だけでなく、歩き方や目の動き、様々な行動に異常が見られたり、けいれん発作が起きることもあることもあるので、老犬の行動をよく観察して、異常があるようであれば獣医師を受診し、しっかりと検査を行いましょう。
■ホルモン異常(副腎皮質機能亢進症)
クッシング病ともいわれる病気ですが、5歳以上から高齢犬が発症しやすい病気です。症状として食欲が急に増えることがあり、ほかにも左右対称に毛が抜けて薄くなり、水を飲む量も増えておしっこが増えます。また、食欲があるのに元気がなく無気力にみえることもあります。全身にさまざまな症状が現れますから、異常があったら早めに受診しましょう。
■糖尿病
犬にも糖尿病があり、インスリンの分泌が少なくなると体が糖を利用しづらくなり、足りないエネルギーを補うために食べ物から糖分を摂取しようと身体が働くことで、食欲が過剰になることがあります。ただ、糖分が足りずに代わりにたんぱく質や脂肪をエネルギーとして使ってしまうので、食べているのに痩せてしまうこともあります。初期のころは病気と判断しにくいですが、お水もたくさん飲み、トイレの回数も増えるなど、様々な症状があるので、生活をよく観察して悪化する前に判断したいところです。
■まとめ
食欲があることは健康な証拠で、よく食べる愛犬をみるのは嬉しいことです。季節的に冬は食欲が旺盛になる時期でもありますから、病気の心配がない食欲であれば、1日の食事量を数回に分けて与え、空腹になる時間を少なくするよう工夫してみましょう。散歩量や運動量が増えて消費カロリーが増えているのであれば、少し食事量を増やしてあげても良いと思います。
欲しがるだけ与えてしまっては肥満の原因になり、肥満は糖尿病になりやすく、心臓病の心配も増えるなど老犬にとって良いことは1つもありません。病気なのか、わがままなのかをよく見極めて、老犬の体に負担のない生活を送りましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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