心配な老犬の痙攣
2019.04.10 (老犬ケア)
老犬は筋肉が弱ることから立っているときに足が震えたり、夢をみているときにピクピクと体が動いたり、走っている仕草を見せることはよくあることだと思います。では、痙攣の症状はどういった震えなのか、どう対処したらよいのか、発作の経験がない飼い主にとっては少し不安に思うことも多いでしょう。
今回は、痙攣の症状と、痙攣を起こした時の対処法についてまとめてみます。
■ 痙攣の症状とは
過去に一度も経験がない犬でも、突然なんの前触れもなく痙攣発作を起こすことがあります。発作を起こした場合、時間は決まっておらず、数秒から1分、長いと3分程度も痙攣がおさまらないことがあり、症状の激しさや不安から飼い主がパニックを起こしてしまうこともあります。
老犬の場合、長い年月の間に一度も経験がなかったからといって安心せず、老犬の様子がおかしいときは、落ち着いて対処し、症状を見極める必要があります。
痙攣の症状とは、体の一部や全身の筋肉が、意思とは関係なく収縮することを指します。具体的には以下のような症状です。
- 体を反らせて激しく震える
- 意識がもうろうとしてふらつき、突然意識をなくす
- 犬かきのように手足をバタバタとさせる
- 全身が硬直し、つっぱる
- 顔や体の一部がビクビクと震えて、止まらない
- 激しく震え、大量によだれが出る
- 口から泡を吹いたり、嘔吐する
- 立てなくなる
- ぐるぐると歩き回る
このような症状はしばらくするとおさまって何もなかったようにケロッとしますが、数分後にまた発症するなど、痙攣を繰り返すこともあります。
■ 痙攣の原因とは
痙攣の発作には様々な原因があります。
その中でも脳に原因がある場合では
- てんかん発作
- 脳腫瘍
- 水頭症
- ジステンバーウィルス感染症
- 脳炎
などがあげられます。
てんかんは痙攣発作を起こす病気としてよく病名を聞くことがあると思いますが、持病として付き合いながら発作の回数を減らしたり、発作を軽くするように薬で緩和することが可能です。脳腫瘍や水頭症などのはっきりした原因がなく、繰り返し発作が起きる場合はてんかんの可能性が高いので、動物病院を受診することをおすすめします。
脳以外に原因がある場合では、
- 熱中症
- 発熱
- 低血糖
- 中毒症状
- 尿毒症
- 肝性脳症
- 電解質異常
などがあげられます。
心臓に疾患がある場合は、不整脈や血液が正常に体に送られなくなるなど、体に障害が起こり、症状が進行すると失神し倒れることがあります。老犬の場合、激しい運動や暑い日や寒い日の散歩など、心臓に負担のかかることは避けましょう。興奮したあとに発作が起きる場合もあります。
■ 老犬が発作を起こしたときの対処法
老犬の全身痙攣や泡を吹いている様子を見たら、慌てない飼い主はいないでしょう。ただ、そんな中でも冷静に対処し、見守りながら今後の治療を考えるためにも記録をとることが大切です。
病院で医師に症状の説明ができるよう、以下のことに注意して愛犬の様子を観察しましょう。
- 冷静になって慌てない。まずは深呼吸をして落ち着く
- 犬を押さえつけない
- 体を揺らしたり、無理やり立たせたりしない
- 家具にぶつかったり、階段やソファーからの転落をさせないよう、安全を確保する
- 大きな声を出さず、小さな声で「大丈夫」と声をかける
- 痙攣している時間を計り、撮れれば動画で撮影する
痙攣を起こしているときは、意識がもうろうとしたり錯乱状態になる犬もいます。触るときは咬まれないように注意し、数分でおさまるので静かに見守るほうがよいでしょう。
痙攣がなかなか止まらなかったり、意識がなくなったり、呼吸が止まった場合は、至急に動物病院に搬送しましょう。
■ まとめ
動物病院に行くときは、メモや動画を持って、詳細を獣医師に伝えましょう。
何をした後に発作を起こしたか、どのような痙攣を起こしたか、時間はどのくらいの長さだったかなどを伝えると、原因をつかみやすく、治療方針も決めやすくなります。
痙攣を起こした愛犬を目の前にして、冷静に行動できる飼い主は少ないと思いますが、その場で記録ができない場合は、よく観察をしておいて、落ち着いてからすぐにメモを残しましょう。
一度痙攣を起こすと繰り返すことがあります。いつ起きるかわからないため、心構えをしっかりとして、愛犬にとって最善をつくせるよう準備しておきましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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