老犬の目ヤニが増えた時の注意点
2019.05.29 (老犬ケア)
日差しが強くなってくるこの時期、外に出た時に愛犬が眩しそうにすることがあります。人はサングラスなどで紫外線を遮断することができますが、裸眼で過ごすことが多い犬の目も、紫外線の影響を受けているといわれています。
人にとって紫外線は白内障の原因になることがあるといい、健康のために必要な日光欲も浴びすぎは要注意。梅雨前のこの時期は夏以上に紫外線が強いといわれますから、いま一度、老犬の目のチェックとケアを心がけたいものです。
■ 目ヤニが増えたと感じたら
朝や正常時に、少しの目ヤニがついていることは人も犬もよくあることです。ただ、急に量が増えたり、ベタついた目ヤニが頻繁についているときは、注意が必要です。
[心配な目ヤニや目の症状]
・黄色や黄緑色など色がついている目ヤニ
・ベタついた粘性の目ヤニ(目の周りだけでなく、眼球につく目ヤニ)
・目の充血
・目を気にしてこする
・目を細める
・瞬きが増える
・涙が増える
目ヤニは生理現象のひとつでもありますが、新陳代謝で剥がれた老廃物や粘液、ゴミなどが混じったもので、まばたきで涙と一緒に外に出ます。寝ているときは瞬きをしないので、起きた時に目の周りに目ヤニが残ります。
目ヤニを放置しておくと、涙やけや雑菌が繁殖しやすくなるので、柔らかいティッシュやコットンなどで、やさしくふき取って清潔を保つようにしましょう。
■ 目ヤニが出る心配な原因
あきらかに目ヤニの量や症状に異常がみられたとき、心配な原因はいくつかあります。どちらにしても、異常が見られたときには悪化するまえに早急に動物病院を受診しましょう。
早期であれば、目薬などの簡単な処方で改善することもあるので、早期発見と早めの対処がおすすめです。
・結膜炎
比較的よく出る症状で、白目の充血や涙の増加、色のついた目ヤニの増加などがみられます。時にはまぶたの裏側が炎症を起こして赤く腫れることがあります。
目の中に砂やほこりなどのゴミがはいって傷がついたり、アレルギー、細菌やウィルス感染が主な原因です。免疫力や体力が低下しているときに、併発して発症する場合もあります。
・ドライアイ(乾性角結膜炎)
シーズーやパグ、ペキニーズ、フレンチブルドッグなど目が大きく、眼球の露出が多い犬種はとくに発症しやすいといわれています。
涙腺になんらかの異常が出て涙が十分に作られないと、目の潤いが失われ角膜や結膜に炎症がおきます。涙の分泌に関わる神経異常が原因の一つといわれ、免疫介在性の免疫異常で涙腺が炎症を起こし、涙腺細胞が減少することによって発症する場合が多いといわれています。ジステンバーウィルス感染による炎症も多く報告されています。
・角膜炎
頻繁に瞬きをしたり、目ヤニがふえ、目に痛みを感じているような症状があれば、角膜炎が疑われます。
角膜は外部環境から目を守るため黒目を覆っている透明の膜ですが、異物が入ったり、散歩中に葉や枝が目に入って傷ついたことで炎症を起こします。ドライアイと同様に目が大きく眼球露出が多い犬種は異物に目をぶつけやすく怪我をしやすいため、十分な注意が必要です。
ほかにも、まつ毛の異常で逆さまつげや生える方向がバラバラだったりすると、まつ毛が眼球に当たって角膜を傷め、角膜炎を起こすこともあります。
■ まとめ
老犬の目の病気は、悪化させると視力の低下や白内障の進行など、愛犬のQOLを悪化させる原因の一つになります。いつまでも健やかに快適に過ごすため、毎日愛犬の目をチェックしながら、目の周りを清潔にケアして、体調の変化を敏感にキャッチしていきましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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