人と犬のインフルエンザ
2020.01.22 (老犬ケア)
例年、1月下旬〜2月上旬にかけて流行のピークを迎えるインフルエンザ。感染力が非常に強いため、飼い主が感染するとかわいい愛犬にもうつってしまうのでは…と心配になる方もいるのではないでしょうか。
今回は、人と動物がかかるインフルエンザの違いや、老犬が気をつけたい風邪症状についてまとめました。
■動物と人が感染するインフルエンザの違い
インフルエンザには「型」があり、A型やB型といった表現で流行のニュースが流されています。さらに細分化すると、さまざまなタイプのインフルエンザウイルスがあります。
有名なものでは高病原性鳥インフルエンザ(H5N1型)の流行がニュースになりましたが、鳥インフルエンザA型ウイルスは人と鳥の両方に感染することが知られています。
動物に感染するインフルエンザウイルスはたくさんあります。馬や豚などにも存在する種特異的な感染症で、基本的には同じ種にしか感染拡大はしませんが、まれに鳥インフルエンザのように異種にも感染することがあります。
では、毎年流行する人のインフルエンザは動物に感染するのでしょうか。よく聞かれる話では、人のインフルエンザの中にはフェレットに感染する型があるということです。逆にフェレットが感染すると、飼い主である人にも感染の恐れがあるということになります。
散歩にでないフェレットが屋外で感染し、飼い主の元にウイルスを持ち帰るリスクは少ないと思いますが、ペットショップに出かけたり、イベント会場など多くの人と動物が集まる場所に連れて出る場合はお互いに注意が必要です。また、感染を予防するフェレット用のワクチンはありません。
◾️人から犬にインフルエンザはうつるのか?
人と犬ではどうかというと、いまのところ人と犬の間に感染するインフルエンザ型はないといわれています。同様に風邪のウイルスも人と犬の間でお互いに感染する心配はないようです。
ただ、ウイルスは突然変異を起こすことがあります。馬にしか感染しないウイルスが、馬に感染したあとに突然変異を起こして犬に感染したという症例もあり、今後、さまざまな新型ウイルスと呼ばれるものが発生する可能性は否定できません。
だからといって、すぐに新型ウイルスが蔓延するということも考えにくいので、老犬のために予防しておくべき対策をしっかりとしながら体調管理をしておけば、怖がる必要はなさそうです。
◾️老犬が気をつけたい風邪やインフルエンザ
老犬が気をつけたいウイルス性疾患にケンネルコフ(犬伝染性気管支炎)があります。ケンネルコフを起こすウイルスには、イヌパラインフルエンザウイルスやイヌアデノウイルスⅡ型があり、感染すると呼吸器系の症状がでる可能性の高いウイルスです。しつこい咳が特徴で、人の風邪に似た以下のような症状がでます。
・発熱・高熱
・くしゃみ、鼻水
・空咳、乾いた咳
・元気がなくなる
・食欲低下
・眼ヤニ
このウイルスは咳やくしゃみなどから犬同士で感染するため、多くの犬が集まるペットホテルやドッグカフェ、トリミングサロンなどでも注意が必要で、多頭飼育の場合は犬同士が同じ布団を使用することで感染が広がります。
子犬や免疫力の低下した老犬がかかりやすく、重症化すると肺炎なども発症し重篤な状態に陥る怖い感染症です。
■予防が大切
パラインフルエンザやアデノウイルスはワクチン接種で予防することができます。5種~9種以上の混合ワクチンにはこれらを予防するワクチンが含まれているので、体調を見ながら1年に1度の接種を心がけましょう。
ワクチンは2種~11種までありますから、老犬の飼育環境や活動範囲に合わせて選ぶと良いでしょう。
また、呼吸器に症状を出すウイルスは、低温乾燥状態を好み、呼吸器の粘膜は湿度が低いと感染を起こしやすい状態になるので、晩秋から冬にかけての乾燥しやすい時期には、加湿器などを利用して、湿度を50%前後に保つように心がけましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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