老犬にできやすい「粉瘤(ふんりゅう)」
2020.02.19 (老犬ケア)
中~高齢犬の皮膚によくみられるしこり状のできものがあります。この多くは「粉瘤」と呼ばれ、正確には「表皮嚢胞」といわれるできものです。
この粉瘤はブラッシングやシャンプーの時に気づく皮膚にできる腫瘤のひとつで、とてもよくみられる皮膚のしこりです。
今回は粉瘤のできる原因や治療をまとめてみました。
■粉瘤とは
粉瘤はアテロームとも呼ばれる皮膚にできる表皮嚢胞で、体のどこにでもできやすく、老犬はとくにできやすい腫瘤です。
良性のため、すぐに摘出しなくてはならないものではありません。大きさは数ミリで気づくこともありますが、放置しておくとだんだん大きくなっていく傾向があり、5㎝大のしこりになることもあります。また、一度に数カ所できることもあります。
原因はさまざまありますが、皮膚からフケや垢として剥がれ落ちるはずの角質や皮脂が皮膚の下にできた袋状の嚢胞に溜まってできることが原因とされています。
◾️治療について
粉瘤の治療は、場合によっては経過観察ということもありますが、局所麻酔での切除になります。しこりの中央部分からにきびを絞り出すように中に溜まった老廃物を絞り出す方法もあります。小さな粉瘤であれば、無麻酔で中の袋ごと絞り出して治療が終わることもあります。
念のため、細胞診で良質病変かどうかを確認することも大切ですが、触診や視診である程度の予測診断が可能です。
粉瘤と診断されたら老犬に負担をかけないよう再発防止の治療も含めて、早めに切除すれば治療は完了です。切除も局所麻酔で施術が可能なので、小さな場合は貼付用局所麻酔剤を貼って、麻酔が効いたら切除するだけなので、麻酔から終了まで数十分で終わります。
◾️表皮嚢胞を予防する
残念ながら、表皮嚢胞ができる原因がはっきりとわからないので、予防は確立されていません。また、切除した部分以外の皮膚にできてしまうケースもあります。脂性肌の犬種にできやすい傾向があるようですが、どの犬種でも発生例があります。
もし、皮膚にできものを発見したら、早めに獣医師に相談してください。表皮嚢胞は良性といっても放置すると化膿することがあります。
また、大きくなると自然に破け、皮膚に穴が開いて炎症を起こし、強い痛みを感じてしまうこともあるので、早めの対処が必要です。
老犬への負担がかからないよう、早めに見つけて処置することをおすすめします。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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