施設訪問記 ペットケアハウスなな
2020.05.19 (老犬ケア)
高知県南国市の老犬ホーム「ペットケアハウスなな」を訪問し、オーナーの嶋岡さんにお話を伺ってきました。
自然豊かな里山でペットホテル併設の介護施設としてオープンしたこの施設は、高知空港からのアクセスが良いことでペット連れの旅行客の利用も多いとのこと。ホテルとして利用する子達の飼い主さんも、他の老犬を目にすることで若いときからゆくゆくのことを意識してもらいたいという思いから、ペットホテルも兼用とした施設を開設しました。
動物病院の看護師として21年間働き、師長も勤められていた嶋岡さん。病院に勤務していた頃は飼い主さんの意識の高まりとともに、長生きするペットの病気や症例が増えてきたのを肌で感じていました。飼い主さんの介護に関する悩みも増えてきましたが、限られた診察時間では十分に相談にのることができず、ジレンマを抱えていたと言います。
その当時の病院では子犬を対象としたパピークラスには力を入れていたものの、老犬に対するフォローは消極的で、その頃から老犬介護のサポートをする仕事を考え始めたそうです。
その後、子育てに専念するため動物病院を辞め、今度は人を相手にする大学病院での看護助手のパートの仕事をしながら施設開設のための準備を進めてきました。
条件に合う土地を探す中で現在の場所を見つけ、自宅を兼ねた施設を作ることに。理想としていた立派な施設とはいかなかったものの、ハードよりもソフト面での工夫で、お預かりしているペットが健康で快適に過ごせるような気遣いを随所に凝らしています。
「介護用品は色々な商品が出ていますが、お金をかけなくても、飼い主さんも自宅で真似できるような工夫を心がけています。」とお部屋づくりのコツを教えてくれました。
動物看護師をしていた頃から、フードやカロリーなどをマニュアル通りに押し付けるのが苦手だったという嶋岡さんは、普段のお世話も基本的にはお家での介護の方法を尊重しているそうです。
「真剣に介護している飼い主さんって、アイディアの宝庫なんですよね。なのでまずはひととおり同じようにしてみて、うまくいかなかった時に他のやり方を試してみます。」とご自身のお世話の基本方針を話してくれました。
お預かりしたペットのお世話はもちろんですが、飼い主さんの悩みに寄り添うことも重要で、人と人とのコミュニケーションに関しては、大学病院の看護助手の経験がかなり生きているとのこと。
忙しい中でも嶋岡さんは都合がつけば勉強のために他県の老犬ホームに見学に行ったり、様々な人の話を聞きに行ったりと、現在も試行錯誤を続けながらより良い環境を目指しているそうです。嶋岡さんのようなひたむきな向上心とペットへの愛情を持つ相談者の存在は、愛犬の介護に悩む飼い主さんの心強い味方となるでしょう。
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