施設訪問記 Con tutti(コントゥッティ)
2020.11.30
兵庫県姫路市の老犬ホーム「Con tutti(コントゥッティ)」を訪問し、代表の車谷さん、桐村さんにお話を伺ってきました。
Con tuttiというのは、イタリア語で「みんなと一緒に」という意味の言葉。ペットと飼い主さんが抱える悩みを、コントゥッティスタッフが一緒に聞いて、一緒に悩み、解決へ手助けできる存在であるようにという思いが込められています。
また、動物看護師でもある車谷さん・桐村さんのお二人が、獣医師と飼い主さんの間に立ち、病院とご家族の関係もうまくつないでいけるようにと日々活動されています。
車谷さんと桐村さんは、元々動物看護師を養成する専門学校の同級生で、よく話をする間柄でした。
在学中から将来は医療ケアのできる預かり施設を作りたいと考えていた車谷さんと、元々シニアケアに興味があった桐村さん。卒業後はそれぞれ別の動物病院に就職し、看護師としての経験を積んでいきました。
実際に病院での医療ケアを学び多くの動物や飼い主さんに接してきた中で、学生時代から考えていた夢について具体的に思い描くようになり、それぞれが今後のキャリアについて考えていたタイミングで再会。それからお互いにやりたいことが一致して二人で協力して施設を作ることに。約1年かけて条件に合う物件を探し、開業に至りました。
車谷さんは、現在も姫路市内の動物病院で動物看護師として活躍中。桐村さんは、以前務めていた病院の経験を生かして母校の専門学校で講師をされています。
医療ケアをメインにしている動物病院では、どうしても重症度によって患者さんにかけられる時間を振り分けざるをえず、比較的元気な子のケアは後回しになりがちです。入院まではする必要のない、投薬や少しの補助が必要な動物にじっくり対応できる預かり施設の必要性を強く感じていたお二人の経験を生かした施設運営が特徴です。
「相談を受けた子のお預かりができるかどうか、単純に年齢で区切ってしまうのではなく、その子の診断された病気や実際の様子をトータルで見て判断できるのが私たちの強みだと思っています。」と語る桐村さん。相談内容によっては病院を紹介することもあるそうです。
現在も病院で働き、医療現場をよく知る車谷さんは「病院と私たちのような預かり施設のお互いに苦手なところを上手くフォローしあえればいいと思っています。」と語られました。
目が見えなかったり、後ろ足が立たなかったり、食べ方に特徴があったりと、ケアが必要といっても、それぞれ必要な対応は違います。介護方法にはこだわりを持ちすぎず、その子に合わせて一歩ずつ合わせるようにしているそうです。
飼い主さんへの対応は、長く病院で働いていた経験から、こうしたらいいと確信的なことがあったら自信を持ってはっきりと伝えるようにしているとのこと。不安になりがちな老犬介護においてこうした頼れる存在がいるのは心強いですね。
コントゥッティでは、譲渡飼養を行わず、預かりか訪問でのケアを行っています。
飼い主さんを慕うペットの気持ちを尊重したいというのももちろんですが、桐村さんには譲渡飼養を決めた飼い主さんが感じる負い目を背負わせたくないという思いがあるのだそう。
「手放してしまった」と罪悪感を感じるのではなく、1ヶ月に1日だけでも家に帰れる環境を整えて、「この子はうちの子」と飼い主さんも思えて気持ちが楽になれるようにしたいといいます。
訪問のシッター業務では、飼い主さんの負担を軽くできるようにカウンセリングやお家の環境整備のお手伝いもされているそうです。
「どの飼い主さんからも、やっと見つけたと言われます。予想以上の方が一人で悩んで困っていたのだなと。一人で抱え込みがちな老犬介護をする中で頼りにできる場所があるのは大きいと思います。」と、開業してからの手応えを感じているお二人。
現在はコロナ禍の中で厳しいものの、将来的には飼い主さんや動物看護師向けのシニアケア教室などを開催したり、飼い主さん同士が交流できるような場所にもしたいとのこと。「Con tutti(みんなと一緒に)」の名前通りに、みんなが協力してつながる手助けができる場所を目指して車谷さんと桐村さんは歩み続けています。
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