老犬の呼吸が荒い…考えられる原因や病気は?
2021.03.30 (老犬ケア)
老犬になると体力が落ちて疲れやすくなるため、少し動くだけで呼吸が荒くなることもあるでしょう。
しかし安静にしている時でも呼吸が荒く息切れしていると、飼い主さんも心配になりますよね。
そこで今回は、老犬の呼吸が荒くなる原因や考えられる病気についてご紹介します。
■ 老犬の呼吸が荒くなる原因とは?
【加齢による心肺機能の低下】
年齢を重ねると、身体の中のさまざまな機能が低下していきます。筋力や心肺機能が低下することで、少し走っただけでも疲れやすく息切れを起こしやすくなってしまいます。
加齢による身体機能の低下が原因であり、特別なことではありません。
【暑い時の体温調節】
犬は呼吸をすることで体温調整をする生き物です。夏場の暑い時期は、ハッハッと早く呼吸することで体温を下げようとするため、通常よりも息が荒くても問題はありません。
これらは生理現象であるため、安静にすれば落ち着くでしょう。
【呼吸器や心臓の疾患】
安静にしていても呼吸が荒い場合は、呼吸器や心臓の疾患が考えられます。
呼吸器や心臓の疾患は遺伝的な先天的なものと後天的なものがあります。遺伝的なものは高齢になってから影響が出やすいため、特に老犬の場合は注意が必要です。
■ 呼吸が荒い・苦しそう…考えられる病気は?
【鼻の疾患:鼻炎】
細菌感染、アレルギーなどで鼻の内部に炎症が起きてしまう病気。重症化すると鼻の内部が腫れてしまい、呼吸がしにくくなります。
【のどの疾患:軟口蓋過長症】
軟口蓋という上あごの後方にのびた柔らかい部分が通常よりも長いことで呼吸が妨げられておこる呼吸器系の疾患。息を吸うときに気道を塞ぎ、ガーガーという雑音が聞こえます。
重症化すると粘膜が紫色になるチアノーゼや呼吸困難を起こすことがあります。
短頭種のパグ、ブルドッグ、シー・ズーなどに多くみられるのが特徴です。
【気管の疾患:気管支炎】
抵抗力の低い仔犬がかかりやすい気管に炎症を起こす疾患。呼吸が荒くなったり咳の症状がみられたりするほか、発熱の症状もあらわれることもあります。
【肺の疾患:肺炎など】
肺炎の多くは感染性のものですが、誤嚥により引き起こされることも。咳や発熱、食欲がなくなる等の症状が見られます。重症化すると死にいたることもあるため注意が必要です。
【胸の疾患:胸水】
心臓病やがん、外傷などによって胸に水が溜まってしまうことがあります。胸の中にたまっている水が原因で肺をうまく膨らませることができないため、少しの運動でも呼吸が荒くなってしまいます。
【心臓の疾患:僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)】
中高齢の小型犬に多く見られます。僧帽弁閉鎖不全症は心臓の左心房と左心室の間にある僧帽弁がきちんと閉じなくなり、閉鎖不全が生じる起こる病気です。
運動したり興奮したりすると咳の症状があらわれ、悪化すると呼吸困難に陥ります。
犬種では特にマルチーズ、ヨークシャー・テリア、シーズー、キャバリアなどに発症が多いといわれています。
◾️まとめ
老犬の呼吸が荒いと、つい加齢のせいにしてしまいがちですが、思わぬ病気がひそんでいることもあります。普段から注意深く様子を見ながら、いつもと様子が違う場合はすぐに受診することをおすすめします。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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