愛犬が白内障になったら?原因と対策を解説
2021.05.14 (老犬ケア)
老犬の目が見えなくなる原因のひとつと言われる「白内障」。目が白く濁るという症状は知っていても、どんな兆候があらわれるのか、また具体的にどんな病気なのか、把握しきれていない飼い主さんもいらっしゃるかもしれません。
そこで今回は白内障の症状や治療方法などについてご紹介します。
■ 白内障ってどんな病気?
白内障とは眼の中でレンズの役割を果たす「水晶体」と呼ばれる器官が白く濁り、視力が失われていく目の病気です。原因はさまざまありますが、加齢や遺伝、糖尿病などの疾患、白内障以外の眼の病気が影響します。
白内障と同じように、水晶体が白く見える「核硬化症」があります。「核硬化症」は水晶体の中心部が老化とともに固くなって白くなるもので、目が見えなくなるという視覚障害は起こらないのが特徴です。
■ 白内障の症状は?初期症状を解説
症状が進行しないようになるべく早く愛犬の異変に気付いてあげたいものです。白内障になった場合、初期の段階でどんな症状があらわれるのでしょうか?
・目の中心部の一部もしくは全体が白っぽく見える
・暗くなってからの散歩を嫌がる
・段差でつまづく
・暗い場所で物にぶつかる
・飼い主と目が合わなくなる
初期では夜の暗いときにだけ視覚障害があらわれます。住み慣れた場所であれば、家の中の配置を覚えているため、ぶつかったりつまずいたりすることも少なく、愛犬の視力が低下していることに飼い主さんが気づきにくいという点があります。
初期から徐々に進行すると明るい場所でも視覚障害が起こるようになります。
白内障のステージには「初発期」、「未熟機」、「成熟期」、「過熟期」の4ステージに分類されます。「初発期」「未熟機」は点眼薬などで進行を遅らせることが可能な段階ですが、成熟以降は手術適応となります。
初発期:水晶体全域10〜15%が混濁している。自覚症状はなし。
未熟機:水晶体全域15%以上が混濁している。見えづらさを感じている。
成熟期:水晶体の全域に渡って混濁している。視力はほぼ消失。
過熟期:水晶体タンパク質が液化し、融解している。網膜剥離や緑内障を続発するリスクがある。
■ 白内障の治療方法は?
白内障は水晶体のタンパク質が変性して起こるもので、白く濁った水晶体は元に戻すことはできません。そのため白内障になってしまうと薬で治すことは不可能です。
治療法には2つに分けて「内科的治療」と「外科的治療(外科手術)」に分けられます。
【内科的治療】
白内障は完全に治すことはできないため、「進行を抑える」ために点眼薬や抗酸化作用のあるサプリメントで病気の進行を遅らせます。
定期的な検査と診察を行い、症状の進行を抑えるための治療です。
【外科的治療(外科手術)】
白く濁った水晶体を取り除き、水晶体の代わりになる人工レンズを挿入する手術を行います。
手術の前に眼科専門医で診察を受けたうえで、手術適応かどうかを判断してもらいます。ただし症状が進行していて、手術しても視力回復の見込みがない場合は、手術は行わないと判断されるケースもあります。
また眼科手術は一般の動物病院ではほとんど行っていないため、眼科専門の動物病院で受ける必要があります。
◾️まとめ
白内障は人間と同様に犬にも起こる目の疾患です。ただし、犬の目は非常にデリケートなため、たとえ手術を受けたとしても合併症を起こす確率が高く、合併症により術後失明するケースもあると言われています。白内障はいかに早く見つけ、進行遅らせるかが鍵ですので、愛犬からのサインを見逃さないように日々のケアを大切にしましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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