夏前から注意したい犬のフィラリア症予防策
2021.05.28 (老犬ケア)
犬フィラリア症は、蚊を介して寄生虫が犬の体内に寄生することにより引き起こされる犬の感染症です。心臓の機能障害や全身の血液循環を低下させ、放っておくと命に関わるケースも。
そこで今回は犬フィラリア症に感染する原因や予防対策について解説します。
■ 犬フィラリア症の症状は?感染経路は?
犬フィラリア症はフィラリア(犬糸状虫)と呼ばれる寄生虫が引き起こす病気です。フィラリアは蚊を介して肺に血液を送る役割をする右心室、肺動脈に寄生します。
肺動脈にフィラリアが寄生することで全身の血液循環に障害を起こし、心臓のほか肺、肝臓、腎臓、血管に悪い影響を及ぼしてしまうのです。
ではどのようにしてフィラリアは犬の体内に入り込むのでしょうか?
【感染の流れ】
1. 蚊がフィラリアに感染した犬を吸血する
2. 犬から蚊の体内にミクロフィラリア(子虫)が移行する
3. 蚊の体内で幼虫に成長する
4. ほかの犬を吸血することで感染幼虫が犬の体内に入る
5. 犬の肺動脈や心臓に感染幼虫が寄生して成虫になる
6. 咳が出る、呼吸がしにくいなどの異常があらわれる
犬フィラリア症に感染すると以下のような症状があらわれます。
【フィラリア症の主な症状】
・咳が出る
・呼吸が苦しそう
・元気がない
・食欲がない
・腹水がたまる
・尿が赤くなる
【感染しやすい原因とは?】
フィラリアに感染しやすい犬種や年齢は特にありません。しかし生活環境や地域によって感染しやすさは大きく影響します。
川沿いなどの蚊が多い場所は特に注意が必要。また草むらを散歩したり、外飼いしたり、蚊に刺されやすい環境で生活していれば、それだけ感染リスクは高まるでしょう。
■ 犬フィラリア症の予防法とは?
犬フィラリア症を予防するためには以下3つの方法があります。安全に投薬するためには、動物病院でフィラリアが寄生していないことを血液検査で確認する必要があります。
【飲み薬】
犬フィラリア症の飲み薬は、錠剤のほかにおやつのようなチュアブルタイプも飲み薬もあります。
蚊の活動期間は一般的に3,4月頃から11,12月頃までと言われていますが、地域によって異なります。蚊が飛び始めて1か月後から、いなくなった1ヶ月後までの間、継続して飲ませます。具体的な予防期間はお住まいの地域の動物病院で相談してください。
【滴下剤】
首の下に薬を垂らす「滴下剤」は、ノミ・ダニ予防と合わせて処方されることが多いでしょう。こちらも飲み薬同様に、蚊の発生する時期あわせて月1回投与します。
【注射】
1回の注射で1年間効果があります。年中いつでも予防できるため、混雑する春の時期を避けて秋や冬にも接種可能。注射は毎月の投与の手間が省けるのも大きなメリットです。
◾️まとめ
フィラリアは予防すれば避けられる病気です。予防策を怠ることでいつの間にか感染していた……というケースも起こり得ます。愛犬が日々健康で暮らせるように飼い主さんは毎年必ず予防を心がけてください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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