老犬は注意したい糖尿病 症状と段階別の治療法
2021.09.07 (老犬ケア)
糖尿病とは膵臓で作られるインスリンが不足したり、うまく作用しなかったりすることで血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高くなる病気です。一般的に老犬がかかりやすい病気の一つで、老犬の場合、生活習慣の積み重ねや肥満、遺伝、慢性膵炎、副腎皮質機能亢進症などが関わっていると言われています。
重症化させないためには早めに気づいて対処することが重要。そこで今回は糖尿病の症状と段階別治療法について解説します。
■ 犬が糖尿病になったときの症状は?
【初期症状】
・水の摂取量が増える
・尿の量や回数が増える
・よく食べるのに体重が減少している
【進行しているときの症状】
・元気がない
・食欲の低下
・嘔吐や下痢
・合併症を引き起こす(白内障、腎疾患、肝疾患、皮膚疾患など)
■ 糖尿病の治療法
糖尿病は一度かかってしまうと完治が難しい病気ですが、血糖値をコントロールすることで症状の悪化を防ぐことができます。
【初期段階の治療法】
初期の糖尿病は食事療法や運動療法などで血糖値をコントロールします。
食事療法では血糖値をおさえる食物繊維を多く含む療法食にするなど、食事の内容や回数・量を調整します。
食物繊維には口から入った食事が胃から十二指腸に送られるスピードを遅くし、糖の吸収を緩やかにする働きがあります。食後の急激な血糖値上昇を防いでくれるため、糖尿病の食事療法ではより多く摂取することがすすめられています。
【進行したときの治療法】
糖尿病が進行しているときはインスリンを投与して血糖値を安定させます。インスリンには数種類あり、「効果が表れるまでの時間」や「効果が持続する時間」が異なります。
また、体格、食事の種類や量、運動量など、さまざまな要因によってインスリンの必要量や投与回数も変わってきます。愛犬に合ったインスリンの種類、投与量、投与間隔を見極めることが重要になってきますので、獣医師の指示に従うようにしましょう。
■ 予防のためにできること
◯ 毎日の食事内容に気を付ける
糖尿病の大敵は肥満です。脂肪や炭水化物が多い偏った食事は肥満を招くだけでなく、急激な血糖値上昇につながります。愛犬の年齢や状態に合わせて適切な食事を与えるようにしましょう。
◯ 適度な運動を心がける
肥満防止のためにも運動は基本。しかし老犬の場合は日々体調の変化が見られるため、無理のない範囲で毎日の散歩を習慣づけましょう。
◯ 定期的に病院に通う
糖尿病は白内障や肝炎など別の病気が併発する恐れがあります。定期的に動物病院に通院し、治療やケアを怠らないようにしましょう。
また糖尿病は初期症状がわかりにくい病気でもあります。気づいたときには重症化しているケースもありますので老犬の場合は半年に1回を目安に定期検診を受けるのがおすすめです。
◾️ まとめ
糖尿病は網膜症や視力低下のリスクのみならず、重度になると末梢神経の機能に障害が生じ、歩行異常が引き起こされるケースもあります。早期発見で悪化を防ぐことができるため、気になる症状があらわれた場合は、すぐに獣医師に相談してください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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