気づかぬうちに進行してしまう!犬に起こる内蔵の病気
2022.06.07 (老犬ケア)
内蔵の病気は人間でも気づきにくいもの。痛みや違和感を感じて検査をしたら、思わぬ内蔵の病気が見つかるということも少なくないでしょう。
一方犬は、痛みなどの症状を表に出さない傾向にあります。そもそも内蔵の病気は精密検査をしないと見つからないケースもあり、飼い主さんが気づかないうちに病気が進行してしまう恐れがあります。
そこで今回は、発見が遅れやすい犬の内蔵の病気について解説します。
■ サインを見逃さない!注意したい内蔵の病気3つ
飼い主さんが気づきにくい内蔵の病気を3つ解説します。
【甲状腺機能低下症】
甲状腺とは、喉のあたりにある小さな臓器です。「甲状腺機能低下症」は、全身の新陳代謝を促す甲状腺ホルモンの分泌量が減少することによって起きる病気。甲状腺低下症になると、以下の症状があらわれます。
・疲れやすい
・抜け毛(毛が薄くなる)
・体重が増える
・元気がなくなる
・皮膚が黒ずむ
・皮膚が乾燥する
・寒さに弱くなる
疲れやすさや抜け毛、皮膚の変化などの初期症状から「年をとったせい」と考える飼い主さんも少なくありません。しかし重症化すると意識障害を起こすケースもあるため注意が必要です。
主に、免疫介在性のリンパ球性甲状腺炎や特発性甲状腺萎縮などから起こります。
【肝臓病(肝臓疾患)】
慢性肝炎、肝硬変、肝臓の腫瘍といった肝臓病は、老犬に見られる病気です。肝臓は「沈黙の臓器」と言われるだけあり、病状が表れにくいので、異常に気付きにくいという点があります。
食欲不振、慢性的な下痢、嘔吐といった症状がみられますが、進行すると腹水、黄疸がみられることがあります。
症状が無くても、血液検査、超音波検査で肝臓が見つかることがありますので、定期的に検診を受けるようにしましょう。
【胆嚢粘液嚢腫(たんのうねんえきのうしゅ)】
「胆嚢粘液嚢腫」とは、何らかの原因で胆嚢の中でゼリー状の粘液物質が固まってしまう病気です。軽度の場合は特に症状はあらわれず、血液検査だけでは発見できません。
なお、中度〜重度になると、以下の症状があらわれます。
・嘔吐
・下痢
・腹痛
・食欲不振
・黄疸
・腹膜炎
はっきりした原因はまだわかっていませんが、一部では胆泥、胆石などが胆嚢粘膜を刺激することで、粘液物質の産生が過剰になり、「胆嚢粘液嚢腫」が引き起こされると考えられています。
◾ まとめ
愛犬は、自身の体の症状を言葉で伝えることができません。初期症状のない病気であれば本人も気づかず、気づかないうちに進行してしまうこともあります。
内蔵の病気は特に見えにくいため、少しでも気になる症状があれば、動物病院でしっかり検査を行い、万が一の事態に備えましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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