犬の脳腫瘍とは?症状や治療法を解説
2022.10.07 (老犬ケア)
老犬に多くみられる病気の1つに「脳腫瘍(のうしゅよう)」があります。腫瘍の部位や大きさ、状態などによって症状はさまざまで、愛犬の体力なども考慮しながら適した治療法を選択していきます。
脳腫瘍は早期発見が難しく治りにくい病気で、症状が悪化すると命に関わることもあるため注意が必要です。
今回は、脳腫瘍の症状や治療法について解説していきます。
■ 犬の脳腫瘍とは?
脳腫瘍とは、脳や脳を包んでいる髄膜に腫瘍ができる病気です。その多くが悪性である可能性が高く、また他の組織から転移を起こすこともあります。
特に免疫力が低下した老犬はがん細胞が成長しやすく、進行すると命に関わることもあるため注意が必要です。
■ 脳腫瘍の症状
脳腫瘍は初期症状が現れないことも多いため、気づいた時にはすでに進行しているケースも少なくありません。
腫瘍の場所にもよりますが、主な症状として以下のような症状があらわれるようになります。
・痙攣発作やてんかん発作を繰り返す
・口をパクパクさせる
・全身がガクガク震えて意識が朦朧とする
・元気がない
・物にぶつかる
・グルグルと一定方向に歩き続ける
・立てない、ふらつく、歩き方がおかしい
・頭や首を傾ける
・眼球が揺れる
・食事の飲み込みが困難
・性格の変化(怖がる、噛みつく、吠えるなど)
・認知症のような症状がみられる
・視覚障害 など
腫瘍が大きくなると、発作の頻度が上がり症状も重くなります。
また、脳内の隙間に脳が入り込む「脳ヘルニア」を引き起こした場合は症状が急変しやすく、最悪の場合は命を落とすこともあります。
発作が10分以上続く場合や、1日のうちに2回以上起こるときは、すぐに動物病院へ連れて行きましょう。
■ 治療に使われる方法は?
愛犬が脳腫瘍になってしまった場合は、以下のような治療を施すことになります。
【手術で腫瘍を切除】
脳腫瘍は手術で完全に腫瘍を取り除けば完治が見込まれます。
周囲の細かい血管や神経を傷つけないように手術する必要があるため、完全に取りきることが難しいと言われていますが、手術で腫瘍の容積を減らすことで脳への圧迫が和らぐため、症状の改善が期待できます。
しかし、手術が行える動物病院は限られており、再発の可能性もある病気なので、手術のメリットとデメリットを考慮して治療方法をしっかり検討する必要があります。
【放射線治療】
放射線治療とは、放射線を腫瘍にピンポイントに照射する治療法です。腫瘍の場所や状態に合わせて、症状の緩和を目的として行います。
毎回全身麻酔が必要になること、脱毛や皮膚炎などの副作用、できる施設が限られることなどがデメリットとして挙げられます。
【抗がん剤】
ほかの治療法と併用して抗がん剤が投与されることもあります。副作用もあるため、体力のない老犬の場合は、治療に適しているか獣医師とよく話し合う必要があります。
【緩和療法】
手術などは行わず、症状の緩和を目的とした治療です。
腫瘍によって現れる症状を投薬などで和らげながら、状況に応じて必要な処置をしていきます。炎症や浮腫を鎮めるためのストロイド剤、脳圧を下げるための薬、抗てんかん薬の投与などが行われます。
◾ まとめ
脳腫瘍は治りにくく危険な病気ではありますが、適切な治療を行うことで、共存したり克服したりすることも可能です。治療の方向性に悩んだときは獣医師に相談してみてください。
それぞれの治療のメリットとデメリットを理解して、愛犬に合った治療方法を見つけていきましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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