ケンネルコフとは?症状や治療法について解説
2022.10.20 (老犬ケア)
「ケンネルコフ」という犬の病気をご存じでしょうか?
「犬伝染性気管支炎」とも言われ、咳が続き息苦しさを感じる病気です。悪化すると黄色い鼻水や発熱がみられ、肺炎を引き起こすと命に関わることもあります。
子犬に多い病気ですが、抵抗力の弱い老犬もかかりやすいと言われています。老犬は重症化しやすく、持病の悪化につながることもあるため特に注意が必要です。
今回は、ケンネルコフの症状や治療法について解説していきます。
■ ケンネルコフとは?
「ケンネル」とは犬舎や繁殖場、「コフ」は咳で、犬が多く集まる場所で伝播する咳症状の感染症の総称を「ケンネルコフ」と呼びます。
接触感染や飛沫感染で感染し、空気の乾燥した冬に猛威を奮います。
■ ケンネルコフの症状は?
ケンネルコフは、3~10日の潜伏期の後、以下のような症状が発症します。
・喉に何かがつかえ吐きだすような咳(ゲホゲホ・ガーッ)
・発熱
・嘔吐
・黄色い鼻水
・目やに
・元気がない
・食欲低下
・頭や首を傾ける
・肺炎
犬の咳は人間とは少し様子が違い、喉の奥に何かがつかえ吐き出そうとしているかのようにガーッと咳をします。咳が続くと嘔吐することも。
咳の症状がある場合、致死率が高い他の呼吸器疾患の可能性もあるため、見極めが必要です。
気になる症状があれば動物病院を受診しましょう。
■ ケンネルコフの治療法は?
ケンネルコフは、多くは2週間ほどで症状が落ち着きます。早い段階で適切な治療を受けることが大切です。
治療には、症状に合わせた対症療法を行うのが一般的です。
【投薬】
咳止め、去痰剤などを病院で処方してもらいます。
症状に合わせて、抗生剤、免疫力を上げる薬、解熱剤を使用します。
【ネプライザー】
薬を霧状にする機械を使用して鼻や口から霧状の薬剤を吸入し、患部に直接届けます。
【点滴】
体力が消耗している時は輸液やビタミン剤の投与を行います。
■ ケンネルコフの予防法は?
・混合ワクチンの接種
・ワクチン未接種の犬や咳をしている犬との接触は避ける
・犬が多く集まる場所に行くのを避ける
・栄養バランスのとれた食事と規則正しい生活
ケンネルコフを引き起こす病原体は数多くあり、すべての原因をワクチンで防ぐことは難しいですが、重篤になりやすいウイルスのいくつかは混合ワクチンで予防することができます。
また、感染しやすい病気ですので、感染リスクのある場所はなるべく避けるようにしましょう。
◾ まとめ
咳の症状がみられたら、早めに動物病院で診察を受けましょう。
初期症状は軽い場合が多いですが、悪化して肺炎にまで至ると回復に時間がかかり愛犬の負担が大きくなります。特に老犬は持病の悪化や重症化につながるので、十分注意するようにしましょう。
予防のためにワクチン接種をし、栄養バランスの取れた食事と規則正しい生活を心がけましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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