施設訪問記 犬猫サロンぷらす
2022.11.04
神奈川県横浜市にある老犬老猫ホーム「犬猫サロンぷらす」を訪問し、責任者の礒野さんにお話を伺ってきました。
犬猫サロンぷらすは、隣接する「ゆたか動物病院」が運営する老犬老猫ホームです。デイサービスやショートステイでのお預かりを基本として、飼い主さんの介護施設入所などの事情がある場合には終身でのお預かりにも対応しています。
「生まれてきてから亡くなるまで、ライフステージ毎に寄り添えたら」という想いとともに開業したというゆたか動物病院。院長は礒野さんのご主人が務めています。
開業した当初から、飼い主さんが困った時に預けられるようにとペットホテルとしても登録し、患者さんの子を最初にお預かりしたのが10年ほど前のことです。
礒野さんご夫婦も、病院を開業する前にお仕事で飼い犬を看取ることができなかった経験があり、病気のペットと暮らす人も安心して仕事に行けるように、病院でお世話ができる体制を整えたいと思ったのがきっかけになりました。
普段から病気じゃなくても気軽に立ち寄れるようにしたいと、開院当時は院内にカフェを併設し、病院名も「プラスカフェ」という名前でした。今は忙しくなってしまったためカフェは閉めましたが、建物には当時の名残があり、入りやすい雰囲気が患者さんからも好評です。
はじめは動物病院の中で診療もお預かりもされていましたが、頭数が増えるにつれて手狭になり、ペットホテルは隣の建物に移ることに。お引越しを機に動物病院の方は院長の名前から「ゆたか動物病院」に、老犬老猫ホーム・ペットホテルの方は「犬猫サロンぷらす」と名前を分けました。
施設は病院に通ってくれていた患者さんが売りに出した建物を買い取ったもので、病院の環境とは違う、靴を脱いで自宅のように暮らせる場所になっています。
「預かる施設をやっていますが、私はできるだけ長く飼い主さんと一緒に過ごしてほしいと思っています」という礒野さん。1回入所しても、この施設で介護の工夫を覚えてお家に帰る子が半数くらいなのだとか。飼い主さんのリフレッシュのために短期でお預かりしている子もいるそうです。
介護を頑張る飼い主さんには「いかに楽に過ごすかが長生きの秘訣だし、長く介護する秘訣でもあるから、時々手を抜いてほしい。そのためにも気軽に利用してほしいと思います」とメッセージをくださいました。
また、これから犬や猫を飼う方へは、「愛犬や愛猫が若い時から将来への備えを」といいます。
15年後、自分の仕事はどのようになっていて、ペットのお世話にはどのくらいの費用や労力がかかるのか。事前に知っていれば15年かけて少しずつ貯金していくなど、準備が無理なく進められます。
貯金だけでなく、同じ境遇を持つ友人作りも大切とのこと。もし自分の身にトラブルがあった場合でも、一時的にペットの面倒を見てもらえるような友人がいると安心です。
礒野さんは保護猫活動にも力を入れていて、行政からの依頼やボランティアさんが保護してきた猫を施設で預かり、里親を探す活動を行なっています。
保護された猫は怪我や病気になっている場合も多く、ボランティアの方が負担する医療費はかなりのものになります。その負担を抑えるために礒野さんは猫たちをモデルにしたグッズ販売の利益を医療費に充てる試みにも取り組んています。
制作したグッズは通販やイベントでの出店で販売され、保護猫活動に賛同してくれた方以外にも、純粋にかわいいからと購入してくれるお客さんもいるのだそうです。
介護の現場でも、ボランティアの現場でも、無理なく続けられる仕組み作りはこれからの重要な課題の一つですね。
新しい取り組みのお話も伺うことができ、今後の可能性を感じられるインタビューとなりました。
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