犬の肺水腫とは?原因や治療法とともに解説
2023.02.17 (老犬ケア)
「肺水腫(はいすいしゅ)」という病気をご存じでしょうか?肺の中に水が溜まることで呼吸困難を引き起こし、突然死を招くこともある緊急性の高い病気です。心臓や呼吸器系に疾患があるとかかりやすいため、持病がある老犬は特に注意が必要です。
今回は、肺水腫の原因と症状や治療法について解説していきます。
■ 犬の肺水腫とは?
「肺水腫(はいすいしゅ)」とは、肺の中に水が溜まり、肺胞や気管支などに機能不全が起きる病気です。毛細血管から肺胞内へ血液の液体成分が過剰に漏れ出ることが原因です。
肺は空気を取り込む場所なので、液体が溜まると呼吸がしづらくなり、呼吸困難になることがあります。
特に心臓病や呼吸器系の疾患がある犬は重篤な症状が出ることが多いと言われています。老犬は持病がある場合が多いため注意しましょう。
■ 肺水腫の症状
肺水腫になると、以下のような症状がみられます。
・呼吸数が増える
・口を開けて呼吸する
・運動時に軽い咳が出る
・歯茎や舌が白っぽいあるいは紫色っぽい
・血液が混じった液体を吐き出す
・横にならずに座るか伏せる状態で苦しそうに呼吸をする など
症状がみられたら早急に動物病院に連れて行きましょう。
■ 肺水腫の原因と治療法は?
肺水腫は原因が心臓病かそれ以外かで大きく次の2つに区別され、原因に合った治療を行います。
【心原性肺水腫】
心臓病が原因の肺水腫を「心原性肺水腫」と呼びます。
心臓病になると、心臓から全身に流れていく血液量が低下し、心臓内に血液が残ってしまいます。肺から心臓へ血液が戻りにくくなり、逃げ場を失った毛細血管内の液体成分が肺胞内へにじみ出てくることが原因となります。
主に次のような心臓病が原因となります。
・僧帽弁閉鎖不全症
・拡張型心筋症 など
これらの病気にかかりやすい老犬は特に注意が必要です。
心原性肺水腫は一般的に重篤なことが多いため、入院が必要になります。
安静にさせ、高濃度の酸素の吸入などを行います。その後、注射薬や内服薬などにより、循環血液量をコントロールしたり、肺の水を抜きながら心臓の負担を和らげたりします。
【非心原性肺水腫】
心臓病が原因の肺水腫を「心原性肺水腫」と呼びます。原因は以下のような事故や心臓以外の病気によるものです。
・首輪による気道の閉塞
・火事などによる煙や、毒物の吸引
・電気コードを噛んだことによる感電
・重症肺炎
・敗血症
・重度神経疾患
・重症外傷など
非心原性肺水腫は軽症から重症までさまざまです。症状に合わせて投薬などを行い、重症の場合は心原性の場合と同様に酸素室での入院になることもあります。
呼吸器系の疾患に続いて生じるものは致死率も高いため注意が必要です。
■ 肺水腫の予防法は?
肺水腫を予防するには、肺水腫につながる可能性のある病気や事故を予防することが大切です。以下のようなことに気をつけましょう。
・定期的に健康診断を受ける
・心臓や呼吸器に持病がある場合は定期的に通院し適切な治療を受ける
・電気コードなどの配置に注意
・首が閉まるタイプの首輪を使用しない
◾ まとめ
肺水腫は一般的に重篤で命に関わることもあるため、異変に気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。老犬は心臓や呼吸器系の持病がある場合も多いため、特に注意が必要です。
普段の生活では、電気コードや首輪などによる事故に気を付けましょう。
愛犬の健康状態を日頃から観察し、肺水腫が疑われる症状が見られたら、すぐに動物病院に連絡してください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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