犬の腎臓病とは?症状や治療法を解説
2023.03.24 (老犬ケア)
老犬がかかりやすい病気のひとつに「腎臓病」があります。
腎臓には、尿を作り老廃物や毒素を身体の外に送り出す働きがあります。その他にも、体内環境のバランスや血圧の調整など様々な働きがある重要な臓器です。
腎臓の働きが低下すると、体調にどのような影響が出るのでしょうか?
今回は、犬の腎臓病の症状や治療法について解説していきます。
■ 犬の腎臓病とは?
腎臓の主な働きは尿を作ることであり、その他にも体内環境のバランスや血圧の調整など重要な役割があります。
腎臓の機能が低下して老廃物や毒素を排泄しにくくなる状態を「腎臓病」と呼びます。進行すると全身に毒素がまわる「尿毒症」の症状が現れ、死に至ることもあります。
■ 腎臓病の原因と症状
腎臓病は、「急性」と「慢性」に分けられ、原因や症状も異なります。
【急性腎臓病】
何らかの原因で急激に腎機能が低下した場合は「急性腎臓病」と呼ばれます。
腎毒性のあるものを食べた、結石による尿路閉塞、事故による膀胱破裂などが原因となります。
急激にぐったりし、以下のような症状がみられます。
・排尿がない
・食欲不振
・下痢
・嘔吐
・脱水
・痙攣
・体温低下
数時間から数日の間に体調が悪化し、最悪の場合死に至ることもあるので注意が必要です。
適切な治療を行うことにより腎機能が回復する可能性もあります。膀胱炎や結石を予防し、排尿時の尿の色や量を把握しておきましょう。
【慢性腎臓病】
「慢性腎臓病」は、慢性的な腎臓の炎症が原因となり腎臓の働きが徐々に低下していく病気です。ゆっくりと進行していき、治療をしても腎臓の機能は戻りません。
高齢になるほど発症率は高くなります。初期は無症状ですが、その後、以下のような症状がみられるようになります。
・多飲多尿
・体重減少
・活動的でなくなる
・毛艶が悪くなる
・嘔吐
・貧血
これらの症状が出る頃にはかなり進行している可能性があります。
尿毒症まで発展すると元気消失、下痢、痙攣などの症状も引き起こし命に関わることも。症状があれば早めに動物病院を受診しましょう。
■ 犬の腎臓病の治療法は?
【急性腎臓病の治療法】
急性腎臓病は、原因となる病気がわかれば、その病気を治療していきます。
点滴などで腎臓を保護する治療や投薬を行うことで徐々に腎機能が回復することもありますが、回復した後も完全に機能が回復せずに、慢性腎臓病へと移行する場合もあります。
【慢性腎臓病の治療法】
慢性腎臓病は治すことができないため、症状の進行を遅らせる治療となります。
点滴で尿量を調整し、老廃物や毒素を体内に溜めすぎないようにします。症状に合わせて、内服薬や透析を行う場合もあります。
食事は、腎臓の負担を抑えるためにタンパク質やリン、塩分量などを制限した食事が処方されます。食事内容は、動物病院に相談するとよいでしょう。
◾ まとめ
腎臓病は、早期発見・早期治療がとても大切です。急性腎臓病は急激に進行して命に関わることもあるため、異変に気づいたらすぐに動物病院を受診しましょう。
老犬に多い慢性腎臓病は、一度かかると一生付き合っていかなければなりません。初期症状がほとんど出ないため、早期発見のために定期的な健康診断が重要です。
普段から愛犬の飲水量や尿の状態を観察して、バランスのよい食生活を心がけましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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