災害への備えの見直しを
2016.03.10 (老犬ケア)
東日本大震災から明日で5年が経ちます。
災害時に愛犬たちはどうすれば良いのか?
以前のコラムで同行避難についてお伝えしましたが、この日にあらためて飼い主が災害に備えておくべきことを、考えたいと思います。
現在、飼い主の心のケアのため、そして残された動物たちが野生化し、事故や衛生面の問題がおきなよう、災害時はペットを同行して避難することが原則となっています。
その避難所では多くの人たちが共同生活を送ることになります。
災害は愛犬にもストレスをもたらします。
避難所に入るような場合、さらに環境の変化も重なるので、愛犬は大きなストレスにさらされることになります。
突然普段と違う行動をとり、飼い主と離れ離れになってしまう可能もあります。
そんな時でも飼い主のもとに戻れるよう、鑑札やマイクロチップの装着などの身元表示の備えが必要になるでしょう。
また避難所には他の愛犬や、愛猫も多く避難してきます。
感染症の蔓延を防ぎ、愛犬の健康を守るためにも、日ごろから体を清潔に保ち、狂犬病予防注射や混合ワクチン接種のほか、ノミなどの駆除も行いましょう。
ご飯の用意も欠かせません。
一部の避難所にはペットフードを備蓄しているところもありますが、ほとんどはそういった備えはしていません。
避難所で配られる食料や水はあくまでも人間用なので、愛犬の分のご飯や水などは用意したうえで避難する必要があります。
しつけも大切です。
家族以外の他人や、他の犬や猫とも仲良くできるよう、普段からしつけていないと、思わぬ事故を起こしかねません。
また、犬は環境変化に弱い動物ですが、老犬になるとさらにその傾向は顕著になります。
老犬ホームのスタッフにお話をお伺いしても、「一番気を遣うのは環境が大きく変わる入所後1週間だ」とみなさん口を揃えて言います。
避難所に避難した際の環境変化を、最小限にとどめるような努力が常日頃から必要です。
クレート内生活、他の人や犬が多くいる場所への外出などの訓練も普段から行いましょう。
よく、クレートに閉じ込めるのは可哀想をいう飼い主の話を聞きますが、犬は古来の習性で、穴蔵のような場所を好むので、可哀想ではありません。
かえって、落ち着ける場所が確保でき、安心できるくらいです。
避難の際に普段の寝床に使っているタオルなどを持参するのも良いでしょう。
これらの準備に加え、避難所での心がけも大事です。
避難所には動物が嫌いな人も、たくさん避難しています。
そんな方のなかには、動物がいること自体が恐怖になっている方もいるのです。
私はちゃんと世話しているから、迷惑をかけていないとは言い切れないのです。
「ご迷惑をおかけして申し訳ありません。何か気になることがあれば言ってください」と周囲の方に声を掛ける配慮が必要です。
普段からこのような準備を怠らないことが、災害時に人とペットたちが共生するための、飼い主の最低限の責務であると心にとめておくことが大切です。
最後になりましたが、東日本大震災で亡くなられた方々のご冥福を、未だ行方不明の方々が一日も早くご家族のもとに戻れることを、そして被害を受けた地域の一日も早い復興を、私たち老犬ケアスタッフ一同、心よりお祈り申し上げます。
私たち一人ひとりにできることは限られているかもしれません。
それでも、この悲しいできごとを忘れることなく、多くを学び取り、活かしていくこと、そして後の世代に語り継いでいくこと、それが私たちに課せられた責務ではないでしょうか。
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