北海道盲導犬協会 老犬ホーム訪問記 その1
2016.04.21 (老犬ケア)
北海道札幌市にある北海道盲導犬協会を訪問しました。
北海道盲導犬協会は昭和45年の設立以来、雪の多い北海道という特性もあり、冬期の厳しい道路状況でも安全に誘導できる盲導犬を訓練、輩出してきています。
その名前から北海道が活動範囲のように思われがちですが、2015年11月現在働いている99頭の盲導犬のうち、44頭は本州で活躍しており、北海道だけでなく本州の豪雪地帯の視覚障がい者の強い味方にもなっています。
北海道盲導犬協会は、退役した盲導犬のために、昭和53年から老犬ホームの運営を開始しました。この老犬ホームの特徴は、長期・終生の預かりだけでなく、短期の預かりにも対応している点です。
通常、北海道盲導犬協会の盲導犬は退役すると、協会から委託されたボランティアの一般家庭で過ごすか、盲導犬を持っていた視覚障がい者が引き続き飼育を続けるか、もしくは老犬ホームで過ごすかの3つの選択肢から犬にとって最適な環境で余生を過ごすことになっています。
この老犬ホームは、委託先家庭や視覚障がい者に引き取られた退役犬のなかで、引き取り先の事情や犬の体の変調で、一般家庭では飼育が困難になった際に、一時的に老犬たちを引き取り、状況が改善次第、また委託先家庭や視覚障がい者のもとに返すという役割も果たしています。
実際、訪問した際に入居していた4頭の老犬のうち2頭は、委託先家庭から一時的に北海道盲導犬協会に戻ってきている犬たちでした。
できるだけ長い間、飼い主ととも暮らし、最期を看取られることが愛犬にとって幸せであることは言うまでもありません。
一方、老犬介護は四六時中愛犬の様子に目を配らねばならず、家をまったく空けることができない、夜ゆっくり眠ることができないなど、飼い主の負担が大きいのも事実です。
このような飼い主の負担を軽減することができるのが、短期預かりにも対応した北海道盲導犬協会が取り組む老犬ホームであり、とても理に適っていると感じました。
一時的にサポートしてもらえることができれば、飼い主も生活のリズムを保ちながら、老犬介護を継続することができます。実際にサポートを受けることがなくとも、このようなサービスがあると知っているだけでも、飼い主の精神的負担は軽くなります。
介護とうまく付き合いながら、お互いが一緒に過ごせる時間を少しでも長く保てる環境。
これは退役した盲導犬、受け入れ家庭の双方にとって、非常に良いものだと思います。
このような流れは民間にも広がりつつあり、短期預かり対応の老犬向けペットホテルや、訪問看護といった新しいメニューも誕生しつつあります。
私たち老犬ケアは、このようなサービスの紹介も増やすことで、飼い主、愛犬がともに幸せに暮らせるよう、サポートしていきたいと思います。
次回コラムでは、北海道盲導犬協会の老犬ホーム施設の特長などをお伝えしていきます。
北海道盲導犬協会の盲導犬の育成、退役犬のお世話は、寄付や募金によって支えられています。北海道盲導犬協会では、通常の寄付金の他、月会費または年会費という形で支援を行うサポート会員も募集しておりますので、ご興味のある方は以下北海道盲導犬協会のホームページよりお申し込みください。
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