老犬を取り巻く環境
フードの改善、医療の高度化などにより、愛犬の長寿化が顕著になっています。
これから重要になる愛犬の老後、それをとりまく環境がどのようになっているか、ご紹介いたします。
飼い主世代の高齢化
ペットの飼育率は50代をピークに低下傾向
ペット飼育率に目を向けると、20代を除くと、30代から上昇し、50代でピークを迎え、それ以降ゆるやかに低下しています。20代は親との同居によるペット飼育が一定程度含まれると考えると、年齢を重ねるごとにペットの飼育率は高まり、ペットをその寿命が尽きるまで間違いなく飼える年代である50代をピークに減少していると考えられます。
高齢世代は、それ以外の世代に比べ、ペットへの好意度が下がるというデータもあり、それも一因と考えられますが、ペットを最後まで面倒見るという、飼い主の高い意識があるのではないかと思われます。別の角度から見ると、50代以上の世帯は、本来はペット飼育を希望しながら、終生飼養への不安からペットの飼育を断念しているとも考えられます。
ペットの長寿化・高齢化
ペットの長寿命化、高齢化が急速に進展
犬の平均寿命はここ3年で0.32歳伸びています。人間から見ると大きな数字に見えないかもしれませんが、犬の1歳は人間の6~7歳にあたるとも言われており、わずか3年の間で、実に人間にして2歳程度も寿命が伸びたことになります。ペット保険の普及にも支えられ、医療の高度化はさらに進んでおり、今後も寿命が伸びることが予想されます。
長寿化に伴い、犬の平均年齢の上昇は人間の高齢化以上のスピードで進んでいるといえます。
また、45.8%が一般に「シニア犬」と呼ばれる7歳以上であり、4分の1以上の25.1%は10歳以上の高齢犬になっています。
飼い主世帯の高齢化も同時に進んでおり、老人世帯(夫婦)が老犬を面倒見る、老・老・老世帯が増加しています。
殺処分は減少傾向にあるものの、いまだ40,000頭弱
平成17年の動物愛護管理法改正により、
「飼い主が犬を最後まで飼う(終生飼養)義務」
「行政は、妥当な拒否事由を明記すれば、動物引き取り拒否が可能」
が明記されました。
同時に国内の動物愛護の機運の高まりがあったことによって、平成24年度の犬の殺処分は平成16年の4分の1程度まで減少しています。
しかし、未だその頭数は38,000頭を超え、1日に100頭以上の犬が殺処分されている計算になります。
このなかには野犬の処分等、やむを得ないものも含まれますが、まだ殺処分数を減らす余地は大きくあると思われます。