天国に旅立ったはな子 動物との暮らし方
2016.06.23 (老犬ケア)
前回コラムでは、はな子の来日から年老いるまでを紹介しました。
今回は晩年に起きた騒動から、はな子が教えてくれた動物との暮らし方を考えます。
2015年、カナダ人ブロガーが「コンクリートの中、一頭だけで立ち尽くしている」とはな子のことをブログ上で発信、国際的な署名活動が行われ、はな子を別の施設に移すよう45万人以上の署名が集まりました。
そして今年の3月、発端となったブロガーと動物園側との間で改善策の話し合いが行われることになります。
動物園側は、はな子が長年一頭で飼育され、飼育員との触れ合いで社会性を補っているため、群れでの生活にはなじめないこと、69歳という高齢のため、別の施設等への移送は負担が大きいことを説明、カナダ人ブロガーも動物園側の説明を理解し、はな子が幸せな余生を過ごせるよう、地面に土やゴム製マットを敷くなどの改善策を動物園側ととに検討することとなりました。
たしかに、灰色の冷たいコンクリートに囲まれ、一頭だけで過ごすはな子の佇まいは、虐待と映ることもあったかもしれません。
ゾウにとっては、広大な大地のなかで、群れで暮らすことが一番良いことでしょう。
そのような環境を、整えていくことが動物園にも求められます。
しかしさまざまな制約があるなかでも、山川さんをはじめとする飼育員のみなさんは、大切にはな子を育て、彼女のために何ができるだろうかと毎日努力していました。
そんな愛情と努力があったからこそ、故郷とは似つかない環境のなかでも、はな子は長寿を全うできたのではないかと思います。
はな子にとっては、飼育員のみなさんが家族であり、一人ぼっちではなかったのでしょう。
身近な伴侶動物、犬や猫も同じです。
犬種や猫種などによって、性格、身体的特徴、かかりやすい病気なども変わってきます。
最近は犬や猫の寿命も長くなり、老犬、老猫の介護が必要なケースも増えてきました。
生きているものは、みな必ず老いていきます。
年老いても、彼ら、彼女たちが穏やかに過ごすためには、ストレスをかけないよう、その動物を良く知り、理解することが重要です。大切な愛犬、愛猫が健やかに暮らしていけるよう、犬種や猫種の特徴をしっかり勉強し、環境を整えてあげるなどの努力を怠らないことが、私たち飼い主に求められるでしょう。
- 愛犬が寝たきりになったら……老犬の食事介助の基本(2021.07.09)
- 老犬の異常な食欲(2019.02.28)
- 愛犬介護は自宅?老犬ホーム?(2016.09.29)
- もしもの時どうする?愛犬と共に災害に備えるヒント(2024.10.30)
- 老犬との生活がもたらすメリットを紹介(2024.09.30)
- 施設訪問記 小淵沢IKIGAIペットセンター(2024.08.30)