愛犬の老いと介護を考える
2017.03.13 (老犬ケア)
先日、愛犬家の方からこんな話を伺いました。
仕事の帰り道、携帯を見ている白髪のおばあちゃんの足元で、転んだまま立ち上がれないミニチュア・ダックスフンドの老犬を見かけたそうです。何かあったのかと思い、駆け寄って声をかけたところ、
「ありがとうございます。私がメールを見ていて目を離したすきに、転んでしまって。でも大丈夫です。いつものことなので。この子はもう年ですから。」
とそのおばあちゃんはおっしゃいました。
聞いてみると、その愛犬は19歳。もう目も見えず、耳も聞こえないのだそうです。
「こんなに長生きすることが、この子にとっていいことなのかどうかね。それでも、この子と一緒に生きてきましたから。できることなら、私が元気なうちに虹の橋を渡らせてやりたいんですけどね。」
この言葉が胸にずしんと響いたそうです。
おばあちゃんにとって、老犬は生きる希望につながる大きな存在なのだろうと。
一日でも長く生きていて欲しいと思うのは、愛犬家であれば、誰でも同じ。
ご自身が飼っている13歳になる同じミニチュア・ダックスフンド、この子に介護が必要になったらどうするか、元気なうちから、考えておく必要があると感じたそうです。
近年、犬の寿命は大幅に伸び、老犬介護という問題も増えてきています。
今は若く、元気なワンちゃんも老いて、誰かの手を借りなくてはならない日がきます。
老犬介護の基本は、家族による在宅介護でしょう。
愛犬にとっても、最期まで自宅で家族と一緒に過ごすことが、最良の選択です。
しかし、在宅介護は簡単なことではありません。
・足腰の弱りからの寝たきり状態
・認知症による夜鳴きや徘徊
・排泄機能の低下による失禁
こうした症状が出ると、24時間目が離せなくなります。飼い主がお年寄りや、一人暮らしの場合、長期にわたって老犬介護を続けるのは難しく、誰かの助けが必要になるでしょう。
在宅での介護が限界になったら、老犬ホームを利用してみるのもひとつの方法です。
老犬ホームのほか、自宅に介護スタッフが来る訪問介護などのサービスも増えています。
我が家の近くにどのような施設やサービスがあるか、事前に調べておくと良いでしょう。
名前や犬種、生年月日など基本的なことから、生活面、体調面、性格など、愛犬のことをまとめたノートを作ることもおすすめです。
ノートにまとめるのは以下の内容です。
生活面
・ドッグフードの銘柄や食事の時間、1回の食事量
・おしっこやうんちなどの排泄の方法(室内のトイレシーツ・庭先・散歩など)
・散歩の時間帯やコース
体調面
・狂犬病予防注射や混合ワクチンの接種日
・フィラリア、ノミ、ダニの予防、駆除薬の有無
・既往症
・避妊・去勢手術の有無
・現在、治療中の病気やケガ、薬の有無
・かかりつけ動物病院やトリミングサロンの連絡先
・希望する老犬ホームなどの連絡先
性格面
・狭いところがダメ、他のワンちゃんに吠える、車に酔うなど、苦手なことや癖
このノートは、入院やケガ、体調不良、長期出張など、飼い主の都合で、誰かにお世話を頼む時に役立ちます。
愛犬の余生を幸せなものにするためには、飼い主の事前の準備が大切になるのです。
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