老犬に気をつけたい【換毛】と【脱毛】
2019.05.08 (老犬ケア)
大型連休が終わり、初夏の陽気が心地良い季節となってきました。今年の春は夏日になったと思ったら、一気に気温が下がって東北や北海道では季節外れの雪が降ったりと気温の変化についていけず体調を崩してしまった人もいるのではないでしょうか。
体温調整がむずかしい老犬にとっても、この気温の急激な変化は体にいろいろな影響を与えることがあります。その1つが換毛です。
換毛は保温のために蓄えていたアンダーコートといわれるフワフワとした下毛が抜けて、通気をよくして夏を涼しく過ごすための準備をします。しかし、急に気温が上がってしまうと換毛が間に合わず、お散歩の時に暑さに耐えなくてはなりません。
換毛時期は気温と日照時間が関係しているといわれています。日が長くなり気温が上がってきたことを感じると自然と換毛が始まり、大量の毛が抜け始めます。和犬やコーギー、ハスキーなどダブルコートといわれるトップコート(上毛)とアンダーコート(下毛)を持つ犬種の飼い主は、抜け毛の量に苦労する時期でもあります。
老犬になると、換毛期がずれたり、若い頃のように毛が抜けずに心配になることがありますが、被毛の艶がなくなったり、毛が長くならなかったりで、毛量が少なくなったと感じるケースもあるようです。
シニアになると白髪が増える犬がいるように、人と同様に毛の成長に変化がでてきます。夏に備えて涼しくしてあげようとサマーカットをすると、その後毛質が悪くなったり毛が伸びなくなることがあるため、おすすめできません。
また、換毛で抜けた毛が被毛に残っていると、毛が絡んで毛玉になり、フケや痒みの原因になることもあります。この時期はこまめにブラッシングをして被毛に残っている抜け毛を取り除き、皮膚が蒸れたりしないようにケアをしてあげましょう。
そして気をつけたいのが、大量に毛が抜けていても、理由が換毛ではない脱毛です。
素肌が見えてしまうほどの脱毛や一部分だけがすっかり抜け落ちる円形脱毛のような症状は換毛とは違う原因があります。異常に痒がっていたりする場合も、アレルギーやノミダニの原因が考えられるので、皮膚をよくチェックしてみましょう。
痒みがない脱毛の場合は、ホルモンバランスが崩れたことによる原因が考えられます。
また、左右対称に脱毛が見られる場合は、クッシング症候群などホルモン性疾患が考えられ、比較的老犬に多い病気なので、すぐに通院が必要になります。
脱毛以外に皮膚に黒ずみがあり、元気がなく、全身にむくみを感じるといったことや、顔がむくんで悲しそうな表情に見えると感じることがあれば甲状腺疾患も考えられます。これも老犬に多い病気です。
見つけづらい病気ではありますが、換毛以外の症状をよく観察し、病気の早期発見につなげましょう。
例年5月も後半になると気温の高い日が続き、梅雨が明けたらもう夏本番です。しっかり準備を整えて、涼しく夏をむかえましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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