老犬老猫それぞれの介護
2019.05.15 (老犬ケア)
今日は16歳の黒猫を持つ飼い主、田中さん(仮称)のお話です。
田中さんのお世話する16歳の黒猫は1年前から腎臓機能が低下して、療養フードと腎臓の薬、老廃物を体の外に出すためのサプリメントを与えているそうです。
それ以外はとても元気でのびのびと過ごしている愛猫。
ただ、腎臓二つのうち一つは全く機能しておらず、もう一つ腎臓が命綱となっています。3か月に一度の通院で血液検査などを行っていますが、さらに状態が悪くなると、点滴による治療なども自宅で行う必要もでてくるとのことです。これ以上太ると糖尿病の心配もでてくるので、食事も毎日量を計って与えるなど体重管理を徹底、体調のバロメーターになる飲水量、排尿の回数や量の変化にも常に気を配っているそうです。
犬も猫も今は元気にしていても、老いれば様々な変化が出てきます。
飼い主の家庭環境もそれぞれにあり、介護や体調を常に観察できる家庭もあれば、老犬老猫を一人で留守番させざるえない家庭もあるでしょう。
田中さんのように毎日の食事やトイレのチェックなどが完璧にできない場合もあるかもしれません。
看護や介護に理想はあっても、正解はありません。
私たち老犬ケアへも、留守番の時間が多くて老犬老猫に負担をかけていると肩を落とす飼い主のご相談が寄せられることもあります。
しかしながら飼い主のみなさんが愛犬愛猫に精一杯の愛情を持って看守り、お世話していることは老犬老猫にも伝わると私たち老犬ケアは思います。
もちろん努力も必要です。
田中さんも16歳の黒猫に朝晩小さな錠剤とサプリメントを飲ませなければなりませんでした。口を開けて薬を放り込むように飲ませるのですが、愛猫の口を開けることも最初は苦労したそうです。薬を口にいれてもすぐに吐き出してしまい、何度も繰り返さなければなりませんでした。どうやって口を開けさせるか、薬を口に入れるタイミングはいつかなど試行錯誤を3日も繰り返し、ようやくうまくいくようになったそうです。もし途中で田中さんが「できない」があきらめてしまっていたら、投薬のために毎日通院しなくてはならなかったでしょう。
飼い主一人ではどうしてもできない場合は、獣医師に飲ませ方を教わったり、薬の変更をお願いするのも一つの選択肢です。一人で悩まず、介護経験のある知人や獣医師に相談すると良いでしょう。
投薬だけでなく、包帯の交換や点滴など、飼い主の家庭でできるお世話も多くなってきました。すべてを最初から完璧にしようとせず、獣医師などのサポートを受けながら、少しずつ慣れていきましょう。
介護が必要になる時に備えて、愛犬愛猫を慣れさせておくことも必要です。
口の周り、足先やお腹やしっぽの先まで、体のどこを触られても嫌がらないよう、若いうちから練習しておくと良いでしょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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