老犬の震え。痙攣と震えの違いとは?
2020.01.07 (老犬ケア)
前回のコラムでは、老犬のための防寒対策についてご紹介しました。朝晩の寒さが堪える季節、寒い朝は散歩を嫌がり、ストーブの前から離れない老犬もいるのではないでしょうか。
犬も寒い時に震えることがあります。以前紹介した痙攣や神経症状と自然な震えは違うものです。
では、心配のいらない震えとどんな震えでしょうか。また、予防としてできることはどんなことでしょう。
■自然な震え
犬も人と同じように何かに反応して震えることがありますが、愛犬がブルブルと体を震わせていると、飼い主としては何が原因か心配になります。
自然な震えの一例としては以下のようなものがあります。
・寒さ--寒い場所にいると、体温を上げようとして震えます
・恐怖心--大きな音や、暴力、病院などの苦手な物や出来事に対して記憶からの恐怖心
・警戒心やストレス--知らない場所での宿泊や知らない人と一緒に過ごすなどの環境の変化
・加齢や体重増加による筋力の低下--筋肉の衰えや体重を支えることが辛い場合
◾️心配のいらない震えかどうかの確認方法
痛みや病気で震えている場合もあるので、心配のいらない震えかどうかはいくつかのテストで確認することができます。
上記のような自然な震えにつながる原因がないのに震えるときは、いくつか試してみましょう。
【痛みの確認】
体中を触って痛みがないかどうか確認します。触ると嫌がったり、悲鳴をあげるなどの症状がないかチェックします。
少し歩かせてきちんと足が動いているかも確認します。歯が痛い場合もあるので、歯にグラつきがないか口の中も確認しましょう。
【神経症状の確認】
おすわりやオイデなどの簡単な指示を出して、いつもすぐに反応できていることができるか確認します。大好きなおやつを与えてみるのも良いでしょう。
普段通りの行動ができ、食欲があれば、心配をすることはないと思います。
ただ、痛みを感じていたり、目の焦点が合わない、よだれが出ている、いつもの行動ができないといった症状があれば、それは自然な震えとは違う原因があると思われるため、獣医師に相談しましょう。
■日ごろからできる震えの予防
寒さによる震えや、筋力が落ちてしまって体重を支えることや歩くことが辛いという震えであれば、簡単に予防することができます。
寒いのが苦手な老犬であれば、洋服を着せる練習をしておきましょう。ずっと着せ続けるとかえってストレスを感じることもあるので、朝や散歩の時だけ着せるなど、寒さを軽減させたい時間帯に上手に活用してみましょう。
犬の洋服にデザインやファッション性は必要ないので、機能性や利用目的をよく考え、素材や脱ぎ着のしやすさを重視して服を選んであげましょう。
また、筋力が落ちたと感じる時は、散歩の時間を徐々に増やし、ゆるい坂道を上り下りするなど、軽く負担のかかる散歩を加えて、足腰の運動を心がけます。階段の上り下りは足に負担がかかる場合があるので、老犬にはお勧めしません。
■まとめ
震えには様々な原因があります。日ごろから老犬の様子をよく観察して、いつもと少し違った行動にも気づけるよう配慮しておきましょう。震えの回数が多くて心配な時は、スマートフォンなどに様子を録画し、時間帯や回数などの記録をつけて獣医師に相談すると、症状がわかりやすく、診察の目安にもなりますので活用してください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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