症状のサインは?予防策は?老犬のための熱中症対策
2020.06.04 (老犬ケア)
老犬になると感覚器官が鈍くなったり、体温調整がうまくできなくなったりすることから、熱中症にかかるリスクが高くなると言われています。そのため飼い主があらかじめ予防策を講じ、熱中症リスクから愛犬を守る必要がでてきます。
そこで今回は、老犬のための熱中症対策をご紹介。予防策はもちろん、万が一、愛犬が熱中症になってしまった場合の症状や対処法も解説します。
■どうやって見分ける?熱中症のサイン
熱中症の際は40℃以上の高体温になります。犬には体温が急上昇すると、体温を下げるために「パンディング」という口を開け舌を出してハァハァと呼吸をする習性があります。そのため、熱中症になると、過剰なパンディングとともに、以下の症状があらわれます。
<軽〜中度の症状>
・よだれが多い
・ぐったりしていて元気がない
・食欲がない
・呼吸が荒い
上記のような症状がないかを確認した上で、症状が出る前に愛犬がどのように過ごしていたかも振り返るようにしましょう。
例えば「暑い日中にずっと外に出ていた」、「暑い日に車のなかで過ごしていた」などリスクのある環境で過ごしていた場合は、一度動物病院に連絡をいれて、受診すべきかどうか獣医師の指示を仰ぐとよいでしょう。
<重度の症状>
・嘔吐や下痢
・チアノーゼ(舌や歯ぐきが青紫色になる)
・痙攣
・意識がなくなる
上記のような症状が見られる場合は一刻を争う状況のため、すぐに動物病院を受診しましょう。
◾️愛犬が熱中症になってしまった場合の対処法
【すぐにやるべき応急処置の方法】
熱中症になってしまった場合は、まずは涼しい場所に移動させます。呼吸が速く落ち着かない場合は、水を身体にかけたり、保冷剤で冷やしたりして、体温を下げるようつとめましょう。
保冷剤を使う場合は、首、脇、内股にあてると効率的に冷やせますが、冷やしすぎにも注意しましょう。(38℃を下回らないように配慮してください)
愛犬に意識があり、水を飲み込める状態であれば、少しずつ水を飲ませてみてもよいでしょう。しかし状態によっては誤嚥(ごえん)や嘔吐の原因にもなってしまうため、少しずつ口に含ませ、飲める状態か確認するようにしてください。
【愛犬に意識がない場合は?】
保冷剤で体を冷やしながら、近隣の動物病院を受診してください。処置が早いほど回復率も上がるため、とにかく早めの受診が必須です。
動物病院には事前に連絡をいれておき、犬種や症状・到着時間の目安などを伝えておくと、病院側もスムーズに対応でき、処置も円滑に行えるでしょう。
◾️老犬のための熱中症の予防策
【クーラーで室温を調節しよう】
お部屋の温度を25度前後に保ち、湿度は50~60%くらいが目安といわれています。短頭種、心臓や気管・肺の病気がある場合、太り気味の犬は、熱が体にこもりやすいので、もう少し低い温度設定にした方がよい場合があります。
安静時にも常にハアハアしているようでしたら、少し室温を下げてあげましょう。
犬は体が毛に覆われているため体感温度が高く、さらに人間に比べて暑さに弱いのが特徴です。そのため室温は人の基準で判断せず、愛犬の足元を触るなどして、犬の状態を見て判断するようにしましょう。
【水をしっかり摂らせよう】
こまめな水分補給が大切になります。室内に複数の水飲み場を作っておくと、愛犬も水分がとりやすいでしょう。
どうしても水を飲んでくれない場合は、飲み水に無脂肪ヨーグルトや犬用のミルク、肉のゆで汁など、少し匂いをつけて試してみてください。
【散歩の時間帯は早朝や夜に】
散歩に出かけるのは、早朝や夜など、気温が低く日の当たらない時間帯が安心です。日が落ちていても、アスファルトの地面は熱い場合があるため、飼い主は愛犬が歩く前に地面に触れて温度を確かめてあげるよいでしょう。
◾️まとめ
室内にいても熱中症のリスクは高いため、気温が上がる日には室内で過ごす愛犬の様子を注意してみてあげるようにしましょう。老犬になると暑さの負担もさらに増すため、より快適に過ごせるための工夫をぜひ取り入れてみてください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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