犬の食物アレルギーと免疫バランスの整え方
2021.04.09 (老犬ケア)
食べ物に含まれる特定の成分に皮膚が反応する「食物アレルギー」。人間同様に犬にも「食物アレルギー」は発生します。
具体的にどんな症状が見られるのか、検査方法やアレルギーを起こしにくくする体内の免疫バランスについても解説します。
■ 犬の食物アレルギーとは?
犬の食物アレルギーは、食べ物に含まれるタンパク質が主な原因として起こり、さまざまな皮膚症状や消化器症状を引き起こします。
犬の体内で、ある種のタンパク質に対して抗体ができるなどの過剰な免疫反応が起きると、そのタンパク質を含む食べ物を摂取するたびにアレルギー症状が起こります。この原因物質をアレルゲンと呼びます。
■ 食物アレルギーの症状と検査方法
【食物アレルギーの主な症状】
・口や目の顔まわり、耳の内側、肛門周囲、背中や腹、足先に炎症がある
・季節に関係なく身体を痒がって、皮膚をかじったり舐めたりする
・下痢や嘔吐をする
口のまわりなど食べ物が触れたところから目の周り、耳周辺から内側、足先、肛門周囲などに赤みや発疹、むくみなどの症状が見られます。強いかゆみを伴うケースも多いでしょう。
皮膚症状以外にも腸の粘膜で過剰な反応を起こし、嘔吐や下痢などの消化器症状があらわれます。
【食物アレルギーの検査方法】
・血液検査
アレルギーの原因となる物質「アレルゲン」を特定するための簡易検査法のひとつが「血液検査」です。
血液検査には血液中に存在する免疫グロブリンといわれる免疫に関わるタンパク質の一種の反応をみる「IgE検査」とリンパ球が引き起こすアレルギー反応を見る「リンパ球反応検査」の2種類があります。
・除去食試験・経口負荷試験
除去食試験・経口負荷試験とは、食物アレルギーの原因の恐れがある食べ物を使用しない「除去食」を6〜8週間ほど与え症状が改善したのち、アレルゲンの疑いがある食べ物を一品ずつ試してアレルゲンを特定する方法です。
■ アレルギーになりやすい犬は?
消化器が未発達の1歳未満の幼犬は食物アレルギーになりやすいと言われていますが食物アレルギーは様々な年齢で発症します。
また食物アレルギーに関わらず一般的にアレルギーになりやすいと言われているのが以下の犬種です。
・フレンチブルドッグ
・ゴールデンレトリバー
・ラブラドールレトリーバー
・ビーグル
・柴犬 など
■ 免疫バランスを整える体づくり3つ
【腸内バランスを整える】
アレルギー予防には体内の免疫バランスを調整することが大切です。腸内の善玉菌を増やして腸内バランスを整えることは、免疫バランスを調整することにつながります。
【皮膚の乾燥を防ぐ】
犬の皮膚には、ハウスダストなどの外部刺激から皮膚を守るバリア機能がそなわっています。
逆にバリア機能が低下することで皮膚は乾燥し、皮膚の隙間ができやすくなることから外からの細菌や刺激などの異物が進入しやすい状態になります。そのため乾燥しやすい季節は特に保湿を心がけることが重要です。
【適度な運動でストレス解消】
ストレスは免疫バランスを乱す要因のひとつ。普段から愛犬がストレスをためないよう散歩は怠らず、適度に運動させましょう。
また叱り方にも注意するほか、愛情をもって適度なスキンシップを心がけましょう。
◾️まとめ
食物アレルギーは人と同じく犬にとっても負担が大きいものです。飼い主さん自身もアレルゲンを含む食べ物を記録したり、食べたことのない食べ物は安易に与えないようにしたりと、注意すべきことが多く出てきます。
お互いにストレスを感じないようにアレルギーと向き合える関係を築くとよいですね。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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