老犬が気をつけたい肝臓病、症状や食事の注意点を解説
2021.04.28 (老犬ケア)
老犬になるとかかりやすいと言われる肝臓病。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、病状があらわれにくいため、なかなか異変に気付きにくい点があります。
そこで今回は犬の肝臓病の種類や食事の注意点についてご紹介します。
■ 犬の肝臓病の種類
【慢性肝炎】
肝臓が炎症を起こした状態が長期間続く「慢性肝炎」は、食欲低下や下痢・嘔吐、元気消失などの症状がみられます。
銅が体内に蓄積して肝臓にダメージを与えるケースのほか、抗生剤などの薬物の影響もあります。
なお、肝臓の銅蓄積は遺伝的な要素が大きく、以下の犬種が肝臓への銅蓄積がみられやすいと言われる犬種です。
・ベドリントン・テリア
・ドーベルマン・ビンシャー
・ダルメシアン
・ラブラドール・レトリバー など
【肝硬変】
犬の肝硬変は、肝臓に慢性的に炎症が起こることで線維化し、肝臓が硬く変質してしまう状態をさします。慢性肝炎が進行することで、肝硬変になることもあります。
肝硬変を起こすと食欲不振となり少しずつやせていき、腹水、黄疸などの症状があらわれます。腹水や黄疸の症状が見られた時には、かなり肝硬変が進行していることが多く、意識障害などが出て、初めて異常に気づくケースさえあります。
そのため慢性的な嘔吐や下痢、食欲の変化といった初期の症状を見逃さないことが重要です。
■ 肝臓をいたわる食事とは?
愛犬が肝臓病になったら、日々の食事管理は非常に重要になります。以下、ポイントを参考にしてみてください。
【低タンパク食を心がける】
肝臓を再生するためには良質なタンパク質が必要ですが、タンパク質を摂取しすぎるとその分アンモニアも生成されるため、肝臓に負担をかけることになります。そのため良質なタンパク質を必要最小限摂取し、基本は低タンパク食を心がけましょう。
【ビタミンをしっかり摂る】
肝臓で代謝される脂溶性ビタミン(ビタミンK、ビタミンE)は肝障害によって吸収不足になるため、積極的に補充が必要なことがあります。また強い抗酸化作用をもつビタミンE、ビタミンCは肝臓の修復に役立つため、食事やサプリで補いましょう。ビタミンB類はタンパク質などの消化・代謝のサポートをしてくれるため強化したい栄養素です。
◾️まとめ
肝臓は血液を通して集まった多くの栄養素から体に必要な物質を合成したり、逆に有害になる物質を体外に排泄するサポートしたり、臓器のなかでも重要な器官です。ただ、その機能が大きく損なわれない限り症状があらわれにくいという特徴があるため、つい老犬症状として見過ごしてしまうことも…。愛犬のサインを見逃さず、思い当たる節がある場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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