老犬の吐き戻し!病気?ストレス?原因と対処法を解説
2021.06.11 (老犬ケア)
老犬が頻繁に吐いたり、激しく吐いたりしていると、とても心配になりますよね。
吐き戻しは一過性で心配ないものもありますが、なかには病気がひそんでいる可能性も。老犬の場合、身体の機能が低下して容態も急変しやすいため、正しく対処することが必要です。
今回は老犬が吐き戻しをする原因と対処法を解説していきます。
■ 犬の吐き戻しは「吐出」と「嘔吐」の2種類がある
ひとえに吐き戻しといっても、種類があります。まずは吐き戻しが「吐出」なのか「嘔吐」なのかを把握することで原因究明を手助けしてくれるでしょう。
【吐出(としゅつ)とは?】
口から入ったものが胃に到達する前に、食道に何か詰まっていたり、咽頭(いんとう)のトラブルや嚥下(えんげ)障害があったりすることで吐き戻されることを指します。
胃液による消化を受けていないため、吐き戻されたものは未消化のままの状態です。吐き戻しの前にお腹の激しい収縮性の運動はみられません。胃に到達する前に起こるため、比較的食後すぐに起こりやすいでしょう。
<考えられる原因>
・異物が食道につまる
・食道炎(外傷、激しい嘔吐などによる食道の炎症)
・食道狭窄(食道炎などが原因で食道が細くなっている状態)
・腫瘍(食道にできた腫瘍によって通過障害が起きている状態)
・巨大食道症(食道周辺の神経や筋肉の異常、内分泌疾患、腫瘍などが原因。食道が全体的に拡張している状態)
【嘔吐とは?】
胃の中のものを吐き戻すことをさします。胃が空っぽの場合は胃液や十二指腸液を吐くこともあります。吐き出す前には腹部の激しい収縮運動がみられます。
<考えられる原因>
・アレルギー反応(食べ物などが合わずアレルギー反応を起こしている状態)
・寄生虫感染(消化管の中に寄生虫の感染が起こっている状態)
・胃腸炎(微生物の感染や化学物質などが原因で胃、小腸、大腸の粘膜に炎症が起きた状態)
・ストレス(精神的な原因から嘔吐を起こしている状態)
・腎臓病(腎臓病が悪化して血液中の尿素窒素量が多くなることで嘔吐の症状がみられる)
・子宮蓄膿症(子宮内の細菌感染が重篤化することで嘔吐の症状がみられる)
・膵炎(膵臓に炎症が起こる膵炎の症状のひとつに嘔吐がみられる)
■ いつ受診すべき?老犬が吐いた場合の受診タイミング
一過性の吐き戻しで様子を見ればよいのか、受診すべきなのか、見極めるのはなかなか難しいものです。以下の症状がでた場合は、早急に動物病院を受診しましょう。
【繰り返し吐き戻す】
老犬が繰り返し何度も吐くと、脱水症状や体力の低下を引き起こしてしまいます。急激に衰弱する恐れがあるため、1時間に1回以上吐く場合はすぐに動物病院を受診しましょう。
【血を吐く、赤みがかったものを吐く】
赤みかがった血のようなものを吐く場合は、胃の中から出血や胃潰瘍などの原因が考えられます。鮮やかな赤色ではなく、うっすら赤い色がついていたりピンク色などの場合は腸に傷がついている可能性も考えられます。
【意識がない】
老犬が吐いたあとに、ぐったりとして意識がない場合は緊急性の高い症状です。若い犬に比べて体力がなく容態も急変しやすいため、ぐったりとしている段階ですぐの受診をおすすめします。
◾️ まとめ
老犬の吐き戻しは必ずしもすべて命にかかわる重大な症状というわけではありません。しかし老犬になり、体調が安定しないなかで繰り返し嘔吐することは身体にとって大きな負担になります。
吐き戻しがあって、元気で食欲があってもしばらくは様子を観察しましょう。吐き戻したときには、「吐いた日時」「吐いたもの、量」「その後の様子」をメモしておくと、受診の際、診断の目安になりますよ。ぜひ参考にしてみてください。
また、吐く頻度が増えてきて、食欲も落ちてきた、便がゆるくなってきたなどの症状が見られる場合、病気が潜んでいる場合があるので、近日中に受診することをお勧めします。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
- 季節の変わり目に要注意!愛犬の体調不良と予防策(2021.09.24)
- 犬の感電に注意!対処法や対策をご紹介(2023.02.13)
- 犬の低温火傷 原因と対策について解説(2022.11.30)
- もしもの時どうする?愛犬と共に災害に備えるヒント(2024.10.30)
- 老犬との生活がもたらすメリットを紹介(2024.09.30)
- 施設訪問記 小淵沢IKIGAIペットセンター(2024.08.30)