犬に漢方薬は有効?期待できること・注意点を解説
2021.08.23 (老犬ケア)
自然の恵みから生まれた漢方薬は体質や症状に合わせて、さまざま治療の場面で活用されています。飼い主さんの間でも漢方を服用し、効果を感じられた方もいらっしゃるかもしれませんね。
では漢方薬を犬にも使うことができるのでしょうか?
今回は「漢方と犬」について詳しく解説していきます。
■ 動物病院でも漢方は処方される?
そもそも犬に漢方薬を与えてもよいのか、疑問を抱く飼い主さんもいらっしゃるのでは?
最近は動物病院でも漢方薬を処方するケースも増えていているといいます。獣医師が診断のうえ、処方されるものです。
■ 漢方薬の特徴とは?
漢方薬は植物や鉱物などの自然由来の成分から作られる「生薬」を漢方の理論に基づいて組み合わせて作られ、身体全体を調整することを目的としています。
普段病院で処方される「西洋薬」は病名や検査データをもとに処方されることが一般的です。しかし漢方薬は目に見える症状だけでなく、体質や身体の状態、季節、周りの環境など総合的に判断して使い分けていきます。
具体的には頭痛の症状に対して、西洋医学の場合は多くの場合が対症療法として鎮痛薬が処方されるのに対して、漢方は個々の状況を詳しく診た上で、身体の状態を正常に戻すための生薬を配合していきます。
さらに漢方の特徴として「未病」という考え方があります。要するに病気にはなっていないけれど、健康ではない状態のこと。愛犬の調子がなんとなく悪いのに病名がつかないというような、動物病院でははっきり判断がつかない症状の際にも漢方薬が使われることが多々あるでしょう。
■ 漢方薬を愛犬に与える際の注意点とは?
【ほかの犬と同じ漢方薬は飲ませない】
「ウチの犬に効いたから…」とすすめられたとしても、同じ漢方薬を飲ませることは避けましょう。
漢方薬はその犬ごとの体調や生活環境、気質を考慮して処方される薬です。知り合いの犬に効果が確認されたからといって、愛犬にも同じ効果が期待できるわけではありません。
むしろ体質に合わず副作用が出ることもあるため、注意が必要です。
【飼い主の判断で人間用の漢方薬を飲ませない】
動物病院では、獣医師が診断のうえで最適な漢方薬を処方してくれます。なかには人間にも使用する漢方薬を処方するケースもあるようです。
しかしドラッグストアなどで購入できる漢方薬を愛犬に飲ませることはやめましょう。体質や症状に合わず、副作用が出る可能性があります。
【用量をしっかり守る】
薬を飲む上で基本的なルールです。漢方薬は症状によって強い成分を持つ植物を使用するケースもあるため、用量を守ることが大切です。
漢方薬は効果を実感するまで時間がかかる傾向にあります。そのため、なかなか効果が出ないからといって、飲む用量を増やすことはやめてください。
◾️ まとめ
犬も人間同様に治療に漢方薬を使うことがあります。しかし漢方薬は犬それぞれの体質や身体の状態、季節、周りの環境など総合的に判断して使い分けていくもの。あくまで獣医師の判断のうえで処方されたもの、犬用に組み合わせた適切なものを与えるようにしましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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