犬のヘルニアとは?原因や症状を解説
2021.09.30 (老犬ケア)
ヘルニアは加齢の影響を受けやすいため、老犬にとっては気をつけたい病気の一つです。 今回はヘルニアの原因についてなど、犬のヘルニアについて解説します。
ヘルニアと聞くと「椎間板ヘルニア」を思い浮かべる方が多いのですが、実はヘルニアにはさまざまな種類があります。そのあたりについても深掘りしていきましょう。
■ 「ヘルニア」とはどんな病気?
ヘルニアとは体内にある器官が本来あるべき場所からはみ出し、飛び出した状態をさします。ずれが起こった部位によって「○○ヘルニア」と呼ばれています。
椎間板ヘルニア以外にも「会陰ヘルニア」、「横隔膜ヘルニア」、「臍ヘルニア」「鼠経ヘルニア」が犬に起こりやすいヘルニアの種類です。
■ よく耳にする「椎間板ヘルニア」とは?
最も犬がなりやすい「椎間板ヘルニア」は、背骨間にある椎間板が変形して神経(脊髄)を圧迫することで起こる病気です。
症状は圧迫される神経の場所や状態によって異なります。犬の場合は、胸腰部に起こりやすいと言われています。当初は痛みだけだった症状は、ふらつきや麻痺が起こり、場合によっては歩行困難や排泄コントロールができなくなることもあります。
椎間板ヘルニアは「加齢」もしくは「遺伝」に原因があると言われています。
【加齢によるもの】
加齢により椎間板の外層を形成する繊維軟骨性の層状組織「線維輪」が変質して亀裂が入り、椎間板の中心部にあるゲル状の組織の髄核が入り込みます。髄核が入り込むことで線維輪が押し上げられ、脊椎を圧迫し椎間板ヘルニアが起こります。
【遺伝的なもの】
「軟骨異栄養症(なんこつえいようしょう)」という遺伝子を持つ犬は、ゼリー状の髄核が固まりやすい傾向にあります。固い髄核は線維輪を圧迫し、線維論に亀裂が入ります。髄核は繊維輪から逸脱し、脊髄が圧迫されることで椎間板ヘルニアが起こります。
■ 「椎間板」以外のヘルニアについて
【会陰ヘルニア】
会陰ヘルニアとは会陰部(肛門周囲)の筋肉が薄くなり、腹腔内(膀胱、腸、脂肪)の臓器が肛門横のスペースに飛び出してしまう疾患です。
症状はヘルニア内の臓器によりますが、便秘・排便困難、会陰部の腫脹、排尿困難、腹痛、虚脱などがあります。
【横隔膜ヘルニア】
胸腔と腹腔の間にある横隔膜の一部が裂け、おなかの臓器が胸腔側に飛び出してしまう病気です。生まれつきの先天性と、交通事故による外傷などによる後天性があります。
【臍ヘルニア】
臍(へそ)の下の部分にある腹壁が閉じ切らず、腹腔内の脂肪や腸などの一部が腹圧で飛び出て起こる疾患です。ほとんどが先天性のもので、遺伝性の病気と考えられています。
【鼠経ヘルニア】
足の付け根(鼠径部)から腹腔内の脂肪や臓器が飛び出る病気です。先天性のものと、交通事故による外傷や出産時の過度な腹圧による後天性のものがあります。
◾️ まとめ
犬はほかの動物と比べ、特に「椎間板ヘルニア」にかかる割合が高いといわれています。特にダックスフントやトイプードル、コーギーなどの犬種はかかりやすいため飼い主さんは日頃から愛犬の様子を観察することをおすすめします。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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