「老犬の体調に合わせて作りたい!老犬ごはん」。【老犬ケア】

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老犬の体調に合わせて作りたい!老犬ごはん

2021.12.06 (老犬ケア)

にんじんを齧る老犬若い頃は何を食べても元気だった犬も年をとると、あちこちに不調があらわれたり病気になりがちになったりします。食べ物の影響も少しずつ体にあらわれるようになるでしょう。

そこで今回は老犬ならではのごはん作りのポイントや老犬ごはんの基本を解説します。

■ 老犬ごはんのポイントとは?

● ポイント1:体を温めるご飯を作ろう
筋肉量の低下や自律神経のバランスの乱れにより、老犬は体が冷えやすくなります。体が冷えると免疫力が低下し、持病が悪化したり感染症にかかりやすくなったりする傾向がみられます。
そのため冷え対策として以下を老犬ごはんにトッピングとして取り入れるとよいでしょう。

・乾燥ショウガ粉
・大葉
・パセリ

● ポイント2:良質なたんぱく質をしっかり与えよう
加齢とともに筋肉量は激減します。さらに関節の問題などさまざまな原因によって徐々に散歩量が減ることで、ますます筋肉量が減少してしまいます。
筋力キープには良質なタンパク質をしっかりとり、血や筋肉を作ることが重要です。

▼鶏肉
ササミや胸肉を中心に与えましょう。特にレバーはビタミンAが豊富で、免疫機能の強化に効果的です。

▼豚肉
欠乏すると神経系にも大きな影響があるビタミンB1が豊富です。ただし肉の中では消化が悪いので、薄切りやひき肉を選び、必ず発酵食品と一緒に与えて消化を助けましょう。

▼牛肉
鉄分、亜鉛など脳神経に効果的な栄養素が豊富です。元気な老犬には脂肪の少ないモモやヒレの赤身を、食欲が落ちている老犬には少量で高栄養なバラ肉の薄切りがおすすめ。

● ポイント3:食物繊維と発酵食品を取り入れて腸活を!
腸には食べ物を消化吸収することに加えて、免疫力の70%を作り出すという重要な働きがあります。そのため腸を健康に保つことは免疫力を維持し、病気予防にもなります。
老犬は便秘になりやすいものですが、便秘になると悪玉菌が増殖し、発がん性物質などの有害物質やガスを発生させます。
食物繊維と発酵食品を取り入れて便秘を予防すれば、悪玉菌が腸壁から吸収されてしまうのを防いでくれます。

<食物繊維が豊富なおすすめ食材>
・野菜(レタス、かぼちゃ、にんじんなど)
・豆類
・きのこ類
・果物(ラズベリー、キウイ、ブルーベリーなど)
・海藻

<おすすめの発酵食品>
・納豆
・味噌
・カツオ節
・ヨーグルト

持病がある場合は、食材の種類や量を制限する必要がありますので、動物病院で相談してください。
また、初めて手作りごはんをあげる時には、少量から取り入れていただき、体調をみながら量を調整しましょう。

■ 老犬の手作りごはんの基本とは?

● 基本1:食材の選び方

1. 肉・魚を選ぶ
まずは主食となるたんぱく質を選びます。肉を中心に、週に2〜3食は魚を選びましょう。

2. 野菜を選ぶ
旬なものを中心に野菜やきのこ類、海藻を2〜5品ほど選びます。旬の野菜は1食に1品取り入れましょう。その季節に必要な有効成分が摂取できます。
さらにケアの野菜となるにんじんやブロッコリーなどの野菜は1食に1〜3品程度。きのこもしくは海藻も1食に1品程度を目安にしてください。

3. ちょい足しアイテムを選ぶ
オイルや乾物、サプリ、ハーブなどを取り入れます。例えば関節ケアにはオメガ3脂肪酸のサプリを、腎臓ケアにはクランベリーを取り入れるなど、気になる箇所に応じてアイテムを選ぶとよいでしょう。

● 基本2:注意が必要な食材
老犬は少しの下痢でもダメージを受けやすいものです。与え方に注意が必要な食材や中毒を引き起こす危険な食材は必ず頭に入れておきましょう。

<与え方に注意が必要な食材>
・ナス科の野菜(じゃがいも、トマト、ナス)は必ず火を通す
・アブラナ科の野菜(かぶ、キャベツ、ブロッコリーなど)は甲状腺疾患を持つ老犬にはNG。老犬に与える際は必ず火を通す。
・大豆類(生の大豆類、豆乳、おから、豆腐)は必ず火を通す
・卵の白身は必ず火を通す
・内蔵系の肉は与えすぎに注意(週1〜2食なら1食につき肉の全体量の30%まで。毎日なら1食につき体重の0.1%まで)

<中毒を起こす危険な食材>
・ユリ科ネギ属(ネギ、玉ねぎなど)
・ぶどう、レーズン
・青梅と種
・チョコレート

● 基本3:調理法で栄養価や食べやすさが変わる
食材をどう切るか、するおろすのか、また煮るのか焼くのか蒸すのか、調理法によって栄養価や食べやすさや消化のしやすさが変わります。特に消化が弱っている老犬には、消化しやすいように調理してあげたいものです。

▼根菜→すりおろす
例えば大根、こぼう、レンコンなどの根菜はするおろして他の食材と一緒に煮込むと、消化にやさしく、吸収も上がります。

▼葉もの→別ゆでする
ほうれん草、小松菜、春菊などの青菜にはシュウ酸が多く含まれ、シュウ酸カルシウム結石の引き金になると言われています。そのため一度下ゆでしてよく絞るようにしましょう。

▼きのこ類→天日干しする
まいたけやしめじは細かく裂き、しいたけやエリンギ、えのきは刻みます。さるに広げて2〜3日天日干しにしたら、保存袋に入れて冷凍保存します。天日干しすることで栄養素がグッと上がります。

食材によって必要な調理法が異なりますので、事前に調べてから調理するようにしましょう。

◾️ まとめ

食欲が落ちてきたり不調が続いたりすると、あれこれ工夫しても思うように食べてくれないこともあります。そんなときは無理して食べさせようとせず、犬が好んで食べるものを優先するとよいでしょう。
目の前の愛犬の体調や変化を観察して、愛犬に寄り添ったご飯を選択してください。
また、絶対に手作りでなければいかない、こうでなければいけないという執着は偏りのもとです。愛犬と飼い主さんの健康と幸せを一番に考えましょう!

(医療監修:獣医師 先崎直子

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