犬の子宮蓄膿症とは?原因・症状・治療法を解説
2022.01.17 (老犬ケア)
メス犬がかかる病気の一つに「子宮蓄膿症(しきゅうちくのうしょう)」という病気があります。特に中高齢で今まで出産したことがなかったり、長く繁殖を停止していたりするメス犬に多いとも言われています。
子宮蓄膿症の原因から治療法について解説します。
■ 犬の子宮蓄膿症とは?
子宮蓄膿症とは、子宮内に細菌が入って感染が起き、子宮に膿がたまる病気です。
子宮蓄膿症は子宮頸管(しきゅうけいかん)と呼ばれる子宮の出口が閉じているか開いているかで「開放性子宮蓄膿症」と「閉鎖性子宮蓄膿症」に分けられます。
開放性子宮蓄膿症は子宮の出口が開いているため外陰部から膿が排出されます。しかし子宮の出口が閉じている閉鎖性子宮蓄膿症は外陰部から膿が出ません。このため閉鎖性子宮蓄膿症は開放性子宮蓄膿症に比べて症状に気づきにくく、子宮に膿がたまり続けて子宮破裂を起こすリスクが高くなります。
結果、子宮内の細菌が腹膜内に広がり、細菌性腹膜炎を引き起こすこともあります。
■ どんな犬がかかりやすい?
犬の子宮蓄膿症は子宮内に細菌が入ることで感染します。通常は、子宮内に細菌が侵入しても粘膜の免疫により細菌感染を防げますが、女性ホルモンのバランスが崩れ黄体ホルモンが長期間分泌されると抵抗力が弱まり、感染が起こりやすくなります。
6歳以上の不妊手術を受けていないメス犬に高い確率で生じる病気のため、出産経験がない、何年も出産していないというメス犬がかかりやすいでしょう。
■ どんな症状があるの?
犬に見られやすい症状はさまざまですが、主に多飲多尿、元気がなくなる、腹部が大きくなって陰部から膿や血が混じった分泌液が出るなどです。
以下の症状が見られたら要注意です。
・食欲不振
・嘔吐
・陰部から膿が出る
・外陰部が腫れる など
■ 犬の子宮蓄膿症の治療法は?
【手術で卵巣・子宮を摘出】
根本的な治療法としては手術で卵巣や子宮を摘出することが一般的です。避妊手術と同様の手術ですが、子宮破裂の可能性や全身状態などから避妊手術よりリスクが高まります。
【投薬】
持病があるなど体の調子が悪く外科手術や麻酔にリスクがある場合は、投薬による内的治療をとることがあります。妊娠を望む若い犬の場合も薬による治療を行います。
手術での治療に比べ時間がかかり、再発のおそれがあることがデメリットです。
◾️ まとめ
愛犬が子宮蓄膿症にならないようにするには、避妊手術が有効です。発情前に子宮と卵巣を摘出することで、子宮蓄膿症のみならずメス犬特有の病気を防げるでしょう。
愛犬の妊娠を望む以外のケースでは、避妊手術を選択肢として検討してみるとよいでしょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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