老犬に多い誤嚥性肺炎 症状と予防法を解説
2022.03.11 (老犬ケア)
食べ物や唾液、嘔吐物などが気管に入ることで肺に炎症が起きる「誤嚥性肺炎」。飲み込む力が衰えた老犬は特にかかりやすいと言われています。
急激に症状が悪化し、重症化すると命に関わることもあるため注意が必要です。
今回は、誤嚥性肺炎の症状や予防法について解説します。
■ 「誤嚥性肺炎」とは?
通常、食べ物や水は食道へ、空気は気管へと分別されます。しかし食べ物や液体が気管に入ってしまった状態を「誤嚥」、誤嚥が原因で肺に起きた炎症を「誤嚥性肺炎」と言います。誤嚥性肺炎には咳や呼吸の異常といった症状が見られ、重症化すると命に関わることもあります。
■ 誤嚥性肺炎を起こす原因は?
誤嚥性肺炎の原因は飲食物や嘔吐物の誤嚥によるものです。
【飲食物や唾液に含まれる細菌による感染】
老犬は、嚥下反射や咳反射の低下によって誤嚥しやすいのが特徴です。さらに口腔内環境の悪化によって感染のリスクが高まると言われています。
【嘔吐物に含まれる胃酸による肺の損傷】
巨大食道症やてんかんなどの基礎疾患がある場合は、嘔吐を頻発するため誤嚥のリスクが高くなります。
■ どんな症状があるの?
誤嚥性肺炎の症状は以下のものがあります。
- せき込む
- 呼吸が荒い
- 呼吸音の異常(ゼーゼー、ヒューヒュー)
- 元気がない
- 食欲がない
- 発熱
- 呼吸困難
- チアノーゼ
誤嚥の状況や内容、基礎疾患の有無によって症状はさまざまです。症状が出ている場合は動物病院に連絡し、獣医師の指示に従いましょう。
■ 予防方法と気を付けたいポイント
基礎疾患のある老犬は誤嚥性肺炎を起こすと悪化しやすく特に注意が必要です。日頃から愛犬の様子を観察し、定期的に健康診断を受けることをおすすめします。
また、普段の食事の与え方にも注意が必要です。食事の際に気を付けたいポイントを紹介します。
【ポイント1:食べ物を飲み込みやすい姿勢で】
- 食事を入れたお皿は台などの上に置き、頭の位置を高くする
- 寝たきりの場合は上半身を支えて、頭が一番高い状態のところで食べさせる
【ポイント2:誤飲しやすいため早食いをさせない】
- 空腹になりすぎないように食事時間を工夫する
- 少量の食事を頻回に与える
- 飼い主さんが食べさせる場合は、飲み込んだことを確認しながら与える
【ポイント3:食べやすい形状と適切な量を】
- ふやかす
- とろみをつける
- 適度な水分補給
- 吐き戻しを防ぐため食べさせ過ぎない
- 必要に応じて介護食を与える
【ポイント4:食後の歯磨き】
- 歯垢や舌苔を取り除き口腔細菌の数を減らす
必要に応じて、咀嚼リハビリで噛む力を取り戻すのも誤嚥性肺炎の防止に役立ちます。
老化によって低下した嚥下反射を取り戻すほか、唾液分泌を促進して口内クリーニング作用も期待できます。
◾ まとめ
老犬がかかりやすい誤嚥性肺炎は、基礎疾患がある場合はさらにリスクが上がるため、日頃から愛犬の健康状態をチェックしましょう。
また、食事の際は愛犬が食べ物を飲み込みやすいように工夫することが大切です。万が一、愛犬に症状が出てしまった場合は、動物病院に連絡し、獣医師の指示に従ってください。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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