老犬にイボができるワケ 治療はしたほうがいい?
2022.04.19 (老犬ケア)
老犬になるとイボが増えてきます。放っておいていい良性腫瘍もあれば、悪性腫瘍の可能性もあるため注意が必要です。
そこで今回は、老犬の皮膚にできるイボについて解説。イボを見つけたときの対応についてもご紹介します。
■ 老犬にできるイボについて
犬も人間と同じように年をとるとイボができやすくなります。イボは「乳頭種(にゅうとうしゅ)」と呼ばれ、いわゆる良性腫瘍の一種です。
良性のイボは治療をしなくても自然に小さくなることもあれば、そのままの大きさで何年も経過する場合もあります。
しかし、イボの数が増えたり、患部が大きくなったりすると、ブラッシングやひっかき傷で出血したり、化膿してしまうことがあります。その場合は、早めに動物病院を受診しましょう。
■ 老犬にイボができやすくなる理由
老犬になってイボができやすくなる理由は大きく分けて二つあります。
【免疫力が低下するため】
免疫は細菌やウィルスなどから体を守る働き以外にも腫瘍細胞などの異常な細胞を排除する働きがあります。加齢により免疫力が低下すると、細菌やウィルス感染を起こしやすくなるだけでなく、腫瘍ができやすくなるのです。
【新陳代謝が低下するため】
老犬になると新陳代謝が衰え、古くなった角質がたまりやすくなります。さらに皮膚のバリア機能も低下するため、かたくなった皮膚の一部がイボのようになることがあります。
■ 愛犬にイボができたときの対応
老犬のイボの多くは良性ですが、なかには悪性のものもあるため、そのまま放っておいても大丈夫というわけではありません。
「気づいたら愛犬の身体にイボができていた!」というとき、飼い主さんはどのように対応したらよいのでしょうか?
【まずは動物病院を受診する】
愛犬の皮膚にできたイボが特に処置の必要がない良性なのか、それとも悪性腫瘍(ガン)なのかを早めに判断することが必要です。飼い主さんだけで判断するのは危険ですので、かかりつけの動物病院でみてもらいましょう。
受診の際には、「いつできたか」「見つけてから大きさに変化があったか」など、イボについての適切な情報を獣医師さんに伝えると診断の助けになります。
【どんな検査が必要?】
良性のイボである可能性が高い場合や、病変があまりにも小さい場合は検査せず様子を見ることもあります。
検査を行う場合は、病変のある箇所を針で刺し、採取した細胞を顕微鏡で確認する「細胞診」という検査をするのが一般的です。この検査は麻酔なしでも行えます。
腫瘍が疑われる場合は、転移の有無や手術の可否、腫瘍の大きさを調べるために必要に応じて、血液検査やCTやレントゲン検査、リンパ節の検査を行います。
【治療はどのように行う?】
検査結果によって、治療法は異なります。老化によるイボであれば、特に治療はせず定期検診だけですむこともあります。経過観察として患部が大きくなったり形状が変化したりしていないかを、体調の変化とともに書き留めておくとよいでしょう。
ただしイボがどんどん大きくなったり、出血からの感染が気になったりする場合は、無麻酔や局所麻酔で行える液体窒素などを使用した「凍結凝固法」や半導体レーザーを用いた「蒸散法」で治療が行うことがあります。
悪性腫瘍だった場合は、腫瘍部分だけでなく周りも十分な範囲で切除して、再発や転移を防きます。
しかし基礎疾患があり、全身麻酔の手術が難しい場合は医師と相談のうえ、適切な処置を決める必要があります。
◾ まとめ
何気なく見過ごしてしまいそうな愛犬のイボ。気づいたときにはかなりの大きさになっていたり、数が増えていたりして飼い主さんも心配になることがあるでしょう。
イボを発見した際は自己判断せず、まずはかかりつけの動物病院へ。さらに発見が遅れないよう、普段から愛犬の皮膚チェックを定期的に行うと安心ですよ。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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