「犬の前庭疾患とは?症状や治療法を解説」。【老犬ケア】

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犬の前庭疾患とは?症状や治療法を解説

2022.10.30 (老犬ケア)

伏せをする老犬愛犬がまっすぐ歩けず様子がおかしい場合、「前庭疾患」が疑われます。
前庭疾患は、平衡感覚を失いバランスが取れなくなってしまう病気のため、倒れた時に外傷を負うこともあります。老犬もかかりやすい病気のため注意が必要です。

今回は、前庭疾患の症状や治療法について解説していきます。

■ 犬の前庭疾患とは?

「前庭」とは、内耳や脳にある平衡感覚をつかさどる器官の総称です。
前庭に異常が起きた状態を「前庭疾患」と呼び、平衡感覚を失ってまっすぐ歩けなくなります。 転倒した際の外傷にも注意が必要です。

前庭疾患になると、以下の症状があらわれます。

・まっすぐ歩けない
・一方向にぐるぐる回る
・眼瞼腫瘤
・頭を傾ける
・眼球が揺れる
・食欲不振
・嘔吐

症状は急に現れることがほとんどです。症状があれば動物病院を受診しましょう。

■ 前庭疾患の治療法

前庭は、内耳にある「末梢前庭」と脳にある「中枢前庭」の2つに分かれます。まずはどの部位で異常が起こっているのかを検査で明らかにし、それに合った治療をしていきます。
検査は必要に応じて全身麻酔下で行われるため、老犬の場合はリスクを考慮しながら話し合いが必要になります。

前庭疾患は異常が起こった部位によって大きく3つに区別され、それぞれの原因となる疾患に対しての治療を行います。

【末梢性前庭疾患】
内耳の障害が原因で起こる前庭疾患。中耳炎、内耳炎、腫瘍、甲状腺機能低下症などによって起こります。
症状に合わせて抗生物質や抗炎症薬などを使います。

【中枢性前庭疾患】
脳にある前庭系の中枢の障害が原因で起こる前庭疾患です。脳梗塞、脳出血、脳脊髄炎、頭部の外傷などによって起こります。
脳圧降下剤や抗てんかん薬を用いる場合もあります。

【特発性前庭疾患】
異常の場所がわからない場合は特発性前庭疾患と診断されます。特に老犬に多く発症し、異常の場所がわからないため対症療法が一般的です。
無治療でも数日以内に症状の改善が認められ、多くの場合は数週間で自然に回復します。

■ 愛犬が前庭疾患になったときの環境づくり

前庭疾患になった犬は平衡感覚の異常によって転倒しやすくなっているため、転倒による怪我を予防しましょう。
自宅では以下のような工夫をすると安心でしょう。

・階段などの段差を避ける
・家具の角やぶつけやすい場所を保護する
・滑りやすい場所にはマットを敷く
・狭い場所はふさいでおく
・安心して休める場所をつくる

◾ まとめ

前庭疾患は、前触れなく発症することも多く、予防法がない病気です。
突然の症状に飼い主さんも驚くかもしれませんが、発症したら慌てずに対処し、動物病院を受診するようにしましょう。
家庭では住環境を整え、転倒による二次的な怪我を予防しましょう。

(医療監修:獣医師 先崎直子

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