施設訪問記 京洛警察犬訓練所
2023.01.30 (老犬ケア)
京都市西京区にあるドッグトレーニングセンター、ドッグホテルの「京洛警察犬訓練所」を訪問し、所長の黒田さんご夫妻にお話を伺ってきました。
黒田さんは先代のお父様から引き継ぎ、30年以上施設を運営されてきました。「警察犬訓練所」という施設名ですが、警察犬だけでなく、家庭犬のお困りごとやしつけ訓練も対応しています。お世話をするスタッフは、徹底的に勉強し実績を積んできた警察犬訓練をしているスペシャリストの方々、競技会で日本一をとった実績もあるそうです。
訓練は遊びを通じて行うことが基本で、ボールが好きなワンちゃんはボール遊びを通じて訓練します。こだわりは、褒めるときはしっかり愛情を持って褒めるということ。訓練ではない場面でも愛情を持って接していると、しかった時でもワンちゃんの負担やストレスにならないそうです。
施設にはドッグランがあり、開放的で明るく、気楽に訪れやすい雰囲気です。もともとは高いフェンスで囲まれた施設でしたが、10年前に建て替えられました。清潔感を大切に、犬好きな方がこの施設良いなと思ってくれるように、関連グッズを置くなど工夫されています。
ワンちゃんの長期のお預かりは約20年前に導入されました。きっかけは、人を噛んでしまって家では飼えなくなってしまったワンちゃんを亡くなるまで預かってほしいという飼い主さんからのご要望があったこと。最初は1ヶ月単位でお預かりしていたそうですが、半年契約で少しでも安く提供できればという思いで始められました。その当時は老犬ホームという言葉もなかったそうです。
黒田さんご夫妻は、訓練やドッグホテルでお預かりしたワンちゃんは、亡くなるまで面倒を見てあげないといけない、そうしてあげたいという強い想いで、長期預かりを運営されています。ただ、高齢になってから慣れていない環境にくるとワンちゃんに負担があるため、新規で10歳以上のワンちゃんはお断りしているそうです。
施設では、ワンちゃんに何かあったら24時間いつでも飛んでいけるような体制をととのえています。寝ている時も携帯電話を枕元に置き、電話が鳴ると、ワンちゃんに何かあったのか?と心配になり、別の用事だと、あーよかったと安心する。そんな日々を続けていらっしゃいます。
高齢犬を飼っている方へのアドバイスとして、何かあったときに犬のことを相談できるプロの方とのつきあいがあること、かかりつけの獣医師さんをつくることは大事だと教えてくださいました。老犬介護はかなり大変なので、若いうちからプロの施設を利用して、将来を見据えて老犬になってからも安心して任せられるところを見つけておくことがワンちゃんのためにも飼い主さんのためにも大切だということです。
具合が悪いワンちゃんをお世話している飼い主さんへのメッセージをお伺いすると、「ワンちゃんのことを何とかしてあげたい!という気持ちでワンちゃんを大切にしていたらそれで十分ですよ。自分を責める飼い主さんがおられるけれど、愛情をもってしっかり育ててきたのだからワンちゃんは幸せだと思いますよ。」と語ってくださいました。
奥さまも「老犬介護はきれいごとではなく、飼い主さんは負の感情を持っています。それは当然ですよって共感してくれる人が必要ですよね。私たちも話を聞きますので。」とあたたかくお話しくださいました。
最後に今後の展望について伺うと「コロナのようなことが犬の世界で起こらないことを願います。1頭でも多くのワンちゃんが幸せになることを願っています。」と語ってくださいました。
訓練所というと厳しいイメージでしたが、根底にワンちゃんへの深い愛情があり、また飼い主さんへのあたたかさにあふれた施設であることが印象的なインタビューでした。
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