「施設訪問記 老犬ホーム セタ」。【老犬ケア】

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施設訪問記 老犬ホーム セタ

2023.03.10 (老犬ケア)

老犬ホームセタ看板北海道札幌市にある老犬ホーム「老犬ホーム セタ」を訪問し、代表の小笠原さんにお話を伺ってきました。

小笠原さんは、22年間、看護師として働いた後、看護教員をされていました。その頃、愛犬のミニチュアダックス、クウちゃんがヘルニアになり、後ろ足が動かなくなってしまいました。クウちゃんがとても苦しそうなのに、仕事を休めずお留守番をさせるのがつらくて仕方なかった小笠原さん。自分のような思いをしている人はたくさんいるはずだと、ネットで調べ始め、老犬に携わる仕事、老犬ホームという施設があることを知り、ビビッときたそうです。

小笠原さんは、看護教員時代、「老年看護学」を担当されており、人は、その人らしく、自分の安心する場所でいつもの一日を過ごしながら最期を迎える事が幸せではないかという考えを大切にしてこられました。同じ思いで老犬を介護、お預かりしたい、と考えたそうです。
やりたいことには情熱を向けて何でもやるご性格の小笠原さんは、「普通の家で、大事に看てもらえる人に愛犬を預けたいと思っている方がきっといる、看護師としての経験を活かし自分にもできることがある」と思い、ご家族の理解も得て「老犬ホーム セタ」をオープンされます。セタはアイヌ語で犬という意味。北海道で家族と大切に育つ犬をイメージして名付けたそうです。

施設はオーナーのご自宅で、できるだけゲージフリーで過ごせるよう配慮されています。
運営には看護師の経験を活かし、さまざまな工夫をされています。たとえば、下半身麻痺で褥瘡(床ずれ)になってしまったワンちゃんのために、人間の褥瘡予防のマットを参考に、耐圧分散して圧迫や擦れ、摩擦を防ぐパッドを手作りされたそうです。

老犬ホームセタ施設内

小笠原さんは、高齢者施設に対して悪いイメージを持っていません。ご自宅で大変な思いをして生活して、誰ともお話しすることがない状況よりも、プロフェッショナルの職員が多くいて、仲間もたくさんいる施設の方が幸せだと、良い場所だと考えておられます。老犬も同じように、家で飼って飼い主さんがつらい思いをしてつらそうな顔をするより、飼い主もワンちゃんも安心できる場所として老犬ホームがあると思っているそうです。

実際に運営を始めると、老犬ホームは、人間の高齢者施設のようでもありつつ、保育園のような側面もあると感じられているそうです。保育園を選ぶとき、親はいろいろな園を見学し、施設の清潔さ、整理整頓されているか、先生の態度、子どもへの声かけの仕方などを見て決めます。「老犬ホームを選ぶ飼い主さんの、自分の大事な子どもを預ける先を探す雰囲気が、保育園を探していた時の自分と重なるのです。」とあたたかくお話ししてくださいました。

老犬ホームセタドッグラン

ワンちゃんをお預かりするにあたって大切にしていることをお伺いすると、「家庭的であること、清潔であること、ハートフルなかかわりをすること」をあげてくださいました。そしてワンちゃんは飼い主さんが1番なので、そこを大事に、ご自身は二番手、飼い主さんのサポーターになりたいということも心がけておられるそうです。

最後に高齢犬を飼われていて将来に不安を持っている方や実際介護をされていて悩まれている方に向けたメッセージをお伺いしました。
「いろいろな人に助けてもらいながら、ひとりで悩まないでください。サポートしたいと思っている人はたくさんいるので、微力ですがお力になれたら。」と優しくお話しくださいました。

看護師時代から「愛情で満たされた仕事がしたい」と思ってこられた小笠原さん。看護の知識とご経験を活かした、ワンちゃんへの愛情にあふれた施設であることがわかるインタビューでした。

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