冬になると痛みが増す?老犬の関節痛について
2024.01.12 (老犬ケア)
「寒くなると関節が痛くなる」という飼い主さんもいらっしゃるのではないでしょうか?
人だけではなく、犬も寒さや冷えで関節が痛くなることがあります。
冷え込んだ朝に愛犬が歩きづらそうにしていたら、もしかすると膝などの関節が痛いと感じているかもしれません。
今回は、冬の老犬の関節の痛みについて、解説します。
■ なぜ冬になると関節が痛くなるの?
まず1つ目の原因として挙げられるのが、血行不良です。身体は「冷え」を感じると、交感神経が優位に働いて身体の熱を逃がさないようにするため、全身の血管を収縮させます。
血行が悪くなることで関節周りの筋肉がかたくなりやすく、関節への負担が増します。また、交感神経が優位に働くと感覚が敏感になり、痛みを感じやすくなることも考えられます。
寒さに弱い犬種の場合、冬に運動量が減ることから体重が増加し、関節への負担が増して炎症を起こすこともあります。
これらのことから、老犬は加齢(運動のしすぎ、または運動不足を含む)によって関節の軟骨や滑液が減っていることもあるため、寒さによる炎症を起こしやすいといえるでしょう。
■ 愛犬の痛みはどうやって知る?
人間の言葉を話せない犬は関節の痛みを訴えることは難しく、なかなか飼い主さんからはわかりにくいものです。愛犬の様子を見て、暖かい時期には見られなかった仕草や動きはないか、チェックしてみましょう。
・動きがぎこちない、立ち上がりがゆっくりになった。
・横になるときに「どっこいしょ」というような動きになる。
・階段を登りたがらない、降りたがらない。
また、夜に起きて動くようになったり、よく眠れていなかったりする場合は、痛みで中途覚醒している可能性が考えられます。
■ 痛みを和らげるためにできること
【ブラッシング】
こまめにブラッシングすることで、皮膚周辺の毛細血管の血流を促進することができます。
ブラッシングによるマッサージ効果で毛細血管の血流が良くなり、全身の血流も促進されやすくなります。
【全身を温める】
散歩や運動をする前に全身と関節周辺を温めて、ゆっくりと足の曲げ伸ばし運動をします。
体を温めると血行が促進され、筋肉が柔らかくなり、痛みを軽減することができます。
その他、日の当たる場所で愛犬が休めるようにする、ブランケットを1〜2枚多くかけるなど、冷え対策をするとよいでしょう。
【食事の管理】
関節に負担をかけないためにも食事を管理し、体重を増やさないように注意しましょう。タンパク質をしっかり摂って、筋肉の維持をすることも大切です。
◾ 最後に
老犬は加齢によって関節の軟骨や滑液が減っていることもあるため、寒さによる炎症を起こしやすく注意が必要です。飼い主さんは、普段から愛犬の様子をよく観察し行動に気になる変化がないかチェックしましょう。
関節の痛みは放っておいても治るものではありません。気になる症状が見られたらかかりつけの動物病院で診てもらうことが大切です。そのうえで、愛犬のために痛みを和らげる対策をしていきましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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