老犬と迎える新生活、お引越しは大丈夫?
2024.02.28 (老犬ケア)
春は進学や就職、職場での異動などによって環境の変化がある季節。人によっては引越しがあり、環境がガラリと変わることもあるかもしれません。
老犬の場合、引越しによる環境の変化はどのような影響が考えられるのでしょうか。
今回は、老犬とのお引越しに心がけておきたいことをお伝えします。
■ 引越しが老犬に与える影響は?
引越しは、それまで暮らしていた環境からの距離があればあるほど変化が大きく、人にとっても犬にとってもストレスとなります。
車や電車での移動のストレス、住み慣れた場所を離れたことでの不安からくるストレスなど、さまざまな要因が考えられます。
愛犬と一緒にお引越しを経験されたことのある飼い主さんなら、引越し後に愛犬の様子がおかしいと感じたことがある人もいらっしゃるのではないでしょうか。
元気がなくなったり、いつものご飯を残したり、それまでしなかった行動をとったり、といった具合です。
老犬であればなおさら、からだに影響が出やすいと考えられます。体調や行動に変化が現れた場合は放置せず、すぐに動物病院で診てもらいましょう。
■ 引越し先に早く慣れるために
環境の変化は悪いことばかりではありません。新しい景色や空気の匂い、初めて会う人や犬との出会いが、老犬にとっては脳への良い刺激となることもあります。
引越しが「適度な刺激」で済むように、早く慣れるための工夫をするとよいでしょう。
犬が使う毛布やおもちゃ、フードボウルなどは新調せずに、それまで使ってきたものを継続して使いましょう。
使い慣れているものは自分や家族の匂いがついていることで、「いつもどおり」という安心感があります。
可能であれば、お留守番は新しい部屋に慣れてからにしましょう。愛犬がひとりでいる時間を少なくすることで、不安感をやわらげることができます。
引越し後は片付けなどで忙しくなりますが、声をかけたり、愛犬をなでたり、コミュニケーションをたくさんとるようにしましょう。
そして、何より大切なのはお散歩です。周辺環境を調べるためにもよいですし、無理なく運動することがストレス解消になりえます。
■ 老犬と一緒に引越すための事前の備え
急な引越しの場合にも安心できるよう、普段から準備できることがあります。
・ペットの移動に慣れている引越し業者や輸送方法について調べておく
・クレートに入ることやクレートでの移動に慣れさせる
クレートトレーニングでは、「クレートに入るといいことがある」と覚えるように、おやつやご飯などのご褒美がもらえるようにするとよいですね。
そして、引越し先が決まったら、次の準備をしておきましょう。
・今まで通っていたかかりつけ医へ行き、引越しを伝える
・新しい病院に伝えるために、病歴を書いてもらう
・継続的に投薬治療が必要な場合は、新しい病院に行くまで薬が切れないようにする
・移動時の乗り物酔いが心配な場合は、動物病院で酔い止め薬をもらっておく
・引越し先の地域にある動物病院をできるだけ多く調べておく
◾ 最後に
新生活が始まって新しい環境におかれると、人間にとっても不安が絶えないものです。
犬は飼い主さんの様子を敏感に感じ取っています。だからこそ、飼い主さんの不安を取り除くことが、とても大切です。
犬には飼い主さんが引越しをしなければならない理由はわかりません。
飼い主さんの不安をできるだけ愛犬に伝えないために、堂々と落ち着いて行動することも大切なポイントになるでしょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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