人生100年時代!高齢者が老犬・老猫を受け入れる暮らし
2024.03.29 (老犬ケア)
人生100年時代という言葉があります。平均寿命の延びにより、100歳まで生きるのが当たり前の時代が来るという考え方で、イギリスの組織論学者が提唱したのをきっかけに、長寿時代に向けて従来の社会制度や人生設計を見直そうという動きが広まりつつあります。
ここ数年で人間と同様にペットの犬や猫の寿命がのびているという話をよく聞くようになりました。感覚的には確かに昔よりもペットの寿命が長くなったように感じますが、具体的には一体どれくらいの長さなのでしょうか?
今回は、昨今の犬と猫の平均寿命や、高齢者が老犬や老猫を受け入れる選択肢についてお伝えします。
■ 犬猫も長寿の時代!
一般社団法人ペットフード協会「令和5年全国犬猫飼育実態調査(※1)」によると、犬の平均寿命は14.62年、猫の平均寿命は15.79年となっていて、2010年以来、犬で0.75年、猫で1.43年伸びています。
犬は体格差で違いがあり、超小型犬は15.07年、小型犬で14.29年、中・大型犬は13.86年となっています。
室内飼育で全く外に出ない猫の場合は16.25年で、外に出る猫の14.18年より1.5年以上高くなっています。
これらをふまえ、人間のシニア期を65歳から(※2)とすると、種類や体格差、飼育環境などで差はありますが、犬で7~8歳、猫で10歳前後からがシニアと呼ばれる年齢になります。
※1 一般世帯で飼育された犬猫の調査
※2 国際連合のWHOでは「シニア」を65歳以上と定義
■ 高齢者が動物と暮らす選択肢
日本人の平均寿命が延び、「人生100年時代」とも言われます。このような時代背景から、高齢になっても動物との生活を望む人は増加しています。
しかし、飼い主さんが入院や亡くなるといった事情でペットが保護されるケースが増えており、特に犬や猫が老齢の場合は引き取り手が少ない現状もあります。
そこで提案したいのが、保護施設や保護団体から老犬・老猫を受け入れる選択肢です。
ペットの受け入れ希望者が高齢者の場合、次のような制度を運用している保護施設や保護団体もあるので検討してみてはいかがでしょうか。
・動物病院へ通える健康な方が、譲渡の難しい老犬や老猫を終生にわたってお預かりする終生預かりボランティア制度
・老犬・老猫を貸し出すという形での里親制度
受け入れ前に、住んでいる地域にこれらの制度を運用しているところがあるか調べておくと安心です。
■ あえて老犬・老猫を選ぶ魅力とは?
老犬や老猫には、あどけない表情を見せる小さな子どもの犬猫とは違う、老齢ならではの良さがあります。
例えば、大人の犬猫は肉体も精神も成熟しています。老齢となれば落ち着きが増し、動きもゆったりとしてきます。 こういったことから、小さな子供がいる家庭や、高齢者の方でも飼育しやすいといえるでしょう。一緒にゆったりとした時間を過ごすことができます。
また、老齢の犬猫であれば、子犬や子猫のようないたずらがありません。体力を発散するために部屋中を走り回るということもないですし、過去にトレーニングを受けたことがある犬もいるでしょう。
性格を理解し尊重する、新しい環境になじめるよう配慮する、様々な病気にかかる可能性があることが考慮できれば、犬猫の飼育経験がない人や家庭にも受け入れやすいのではないでしょうか。
■ 最後に
人間と同様にペットの犬や猫の寿命が伸び、ペットとの生活を望む高齢者の数も増えています。しかし、ペットを飼う際には「最期まで責任を持って飼育する」という課題もあります。住んでいる地域に終生預かりボランティア制度や里親制度を運用しているところがあるか、調べておくことも大切です。
老犬や老猫には、あどけない子どもの犬猫とは異なる魅力があります。 老犬や老猫を受け入れて共に生活することは、ペットにも飼い主さんにもかけがえのない時間となるのでないでしょうか。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
参考資料:全国犬猫飼育実態調査
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