春から夏にかけて注意したいマラセチア皮膚炎
2024.04.30 (老犬ケア)
気温が上昇し過ごしやすくなってきました。むしろ汗ばむほどではないでしょうか?
春から夏にかけて日本は高温多湿な気候になるため、肌は蒸れやすく、皮脂の分泌量が増えます。今回は、この季節に注意したいマラセチア皮膚炎について、解説します。
■ マラセチアって何?
マラセチアは犬の皮膚などにいる常在菌です。健康で正常な皮膚にもいる酵母菌の一種で、増殖するときに皮脂を必要とするため、皮脂の分泌量が増える暖かい季節に増加しやすくなります。
また、マラセチアは湿気を好むので、梅雨の時期から夏にかけての湿度が高い季節は発症しやすくなるといわれています。
■ マラセチア皮膚炎の症状
マラセチアが多く発生すると、皮膚炎や外耳炎を起こしやすくなります。特に通気性が悪くなりやすい脇の下や爪の根元、指の間、耳の中で発生しやすく、以下の症状がみられます。
・皮膚が赤くなる
・皮膚が脂っぽくなる
・かゆみが出て掻き続ける
・脱毛や色素沈着、皮膚が硬くなる
・異臭がある
マラセチアは皮脂を分解する酵素を持っていいます。皮脂分解酵素や分解で生じた脂肪酸が皮膚に浸透することによって炎症を起こすため、上記のような症状が出ます。
■ マラセチア皮膚炎の治療方法と対策
【皮膚炎の場合】
マラセチアを除去するためのシャンプーを使った洗浄を行います。マラセチアが好む皮脂を取り除くため、界面活性剤が強いタイプのシャンプーも使用する場合があります。
シャンプーの頻度が増えるので、乾かした後に皮膚バリア機能を保つために肌の保湿も必要です。
【外耳炎の場合】
専用のクリーナーで清潔に保つようにします。これらの処置は獣医師の指導のもとで行い、正しい洗浄方法を守るようにしましょう。
場合によっては外用薬の点耳、内服薬による治療が必要になります。症状が改善しても自己判断で治療をやめず、必ず獣医師の診断を受けることが大切です。
痒みを伴う場合は痒み止めが処方される場合もあるので、 症状が出たらできるだけ早くかかりつけ医で診てもらいましょう。
マラセチア皮膚炎を発症させないためには、日頃から愛犬の皮膚を清潔に保つことが重要です。 定期的なシャンプーや、雨の日のお散歩の後にはしっかりと乾かす、毛が長いタイプの犬種の場合は毛玉を定期的に取るなどのケアが大切です。
■ 最後に
マラセチアはどんな犬にも同じように存在する酵母菌です。しかし、季節的な変化や犬種、毛の長さ、耳の形などの環境や体型の違いで発症のしやすさが変わります。
基礎疾患を持っている場合は特に発症しやすく、その場合は基礎疾患の治療を行った上でのマラセチアの治療となります。できるだけマラセチアが増殖しないような環境を作り、日頃からのケアを続けることで、愛犬が過ごしやすい日常を提供しましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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