老犬は注意!夏の暑さと心臓病
2024.07.06 (老犬ケア)
夏の強い日差しや高い気温は、人間と同様に犬にとっても大変です。特に体力が低下している老犬にとっては、心臓の負担が心配になります。
今回は夏の暑さが老犬の心臓へ与える負担や、その注意と対策について解説します。
■ 老犬と心臓病
犬の心臓病にはさまざまな種類がありますが、老犬がかかりやすい代表的な病気が僧帽弁閉鎖不全症(そうぼうべんへいさふぜんしょう)です。
小型犬が高齢になると発症しやすいと言われていますが、犬種にかかわらず発症する可能性があり、心臓病全体の8割を占めています。
症状のひとつに、口を開けて舌を出し「はぁはぁ」と息をするパンティングがあります。心臓病が悪化すると、舌の色が紫がかってきます。
夏になると健康な犬でもパンティングが激しくなることがあるため、心臓病との見分けに注意が必要です。
■ 暑さが老犬の心臓へ与える負担とは?
【蒸し暑さと夏特有の寒暖差】
気温や湿度が上がる蒸し暑い天候は、心臓が弱い犬や老犬にとって大きな負担になります。
また、外と室内の気温差が大きいと、外出時や帰宅時に受ける寒暖差によって血圧の急激な変動が起こり、心臓に負担がかかります。
【運動不足】
運動不足になると、心臓病の原因となる肥満につながる可能性があります。 また、運動不足によるストレスが心臓に負担をかけることもあるため注意が必要です。
【脱水症状】
脱水状態になると血液の粘度が高まり、心臓に負担がかかる可能性があります。
気温が上がると、犬は上昇した体温を下げるためにパンティングをし、これにより体内の水分が不足することがあります。逆に、暑さを避けた快適な室内では、喉の渇きを感じにくくなるため、水分補給が不足する場合があるので注意が必要です。
■ 心臓への負担を軽くするためにできること
【ウォーミングアップとクールダウン】
外出時や帰宅時に玄関のドアを少し開けて外気を取り入れ、気温や室温に体を慣らします。マッサージなどで軽く体を動かすとよいでしょう。
【室内での運動を取り入れる】
ストレスを貯めないように、いつものお散歩に加えて適度な運動を行います。室内で行う運動は、室内散歩やかくれんぼ、隠したおやつを探すゲームなど、五感を刺激する遊びがよいでしょう。
【意識して水分補給を促す】
横になることが多い老犬は水分補給が怠りがちです。目の前に水を持っていき、意識して飲めるようにしてあげます。
食事で水分を取れるように、ウェットタイプのフードに切り替える、ドライフードを水でふやかす、といった工夫をするとよいでしょう。
いつでも新鮮な水を飲めるよう、循環型の給水ボウルを用意することもおすすめです。
■ 最後に
犬の寿命の高齢化に伴い、心臓病は増えているといわれています。また、温暖化によって年々気温が上昇し、夏の暑さが激しくなっています。いずれも、老犬の心臓病のリスクを高める要因です。
心臓病は早期発見が大切です。愛犬のパンティングがいつもと違う、ゼーゼー音がする、咳が止まらない、などといった症状がみられたら、迷わずかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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