夏でも冷たい肉球、大丈夫?
2024.07.24 (老犬ケア)
いよいよ夏本番。毎日暑い日が続きますね。
暑さに弱い愛犬のためにエアコンをフル稼働させた一見過ごしやすい室内。すやすやと快適そうに寝ている愛犬をなでてふと肉球を触ると、ひんやり冷たい……なんていうことはありませんか?
今回は、夏に起こる冷え性について、解説します。
■ 夏なのに愛犬の肉球が冷たいのはなぜ?
肉球には毛細血管が多く集まっています。体が冷えると毛細血管まで血流が行き届かなくなるため、肉球が冷たくなりやすいのです。
犬が過ごしやすいように部屋の気温を下げていると、重い冷気が床付近に溜まります。特に横になっていることが多くなる老犬は冷たい空気にさらされやすく、また、体を動かす機会が減ることで筋肉が弱り血流も低下することから、夏でも冷えに注意が必要です。
暑さを和らげるために水で冷やす、などといった一時的な冷えの場合は問題ありません。しかし、そういった原因が考えられない場合や持続的に肉球が冷たい場合は、末端冷え性の可能性があります。
■ 体が冷えると起こりやすい病気
夏でも肉球が冷えていることが続くと、冷え性が慢性的になっている可能性があります。冷えは万病の元といわれていますが、注意したい病気がいくつかあります。
【感染症】
体が冷えることで免疫力が低下し、細菌やウィルスに感染しやすくなります。
【消化器系疾患】
体の冷えによって胃腸の働きが弱まると、消化に時間がかかったり、消化不良で下痢を起こしやすくなったりします。
【呼吸器系・泌尿器系疾患】
体の冷えによって血流が悪くなると、心肺機能や泌尿器系へ負担をかけ、働きが低下します。
【関節系疾患】
冷えは痛みに直結します。特に関節の周りには脂肪がついていないことが多く、冷えやすいといえるでしょう。痛みが出ることで運動を嫌がり冷えが増す、といった悪循環に陥りやすく、注意が必要です。
■ 夏ならではの体温調整サポートを!
◯ 食事でサポート
夏でも常温か、少し温めたフードを与えましょう。
マグロや鶏むね肉などのタンパク質は体を温める食材です。茹でたものをいつもの食事にトッピングしたり、混ぜたりするのもおすすめです。
◯ 室内の気温調整
愛犬の犬種に最適といわれる気温に、老犬ならプラス1〜2度に設定し、室内気温が23〜26度になるのを目安にします。
犬がリラックスしている状態で「はぁはぁ」とパンティングしているようなら下げる、といったように、様子を見ながら調節するとよいでしょう。
また、サーキュレーターを利用して、冷気が下に溜まりにくくする工夫もお勧めです(サーキュレーターからの風を直接あてないようにしましょう)。
◯ 肉球マッサージ
犬用のクリームやホホバオイルなどで優しくマッサージをすると、血行を促すことができます。飼い主さんとのスキンシップにもなり、一石二鳥です。
■ 最後に
夏の冷えを放っておくと、秋から冬へと寒さが厳しくなる季節の体調に影響します。
肉球がいつも冷えていないか、こまめに触って確かめるといいですね。触ることで犬も安心します。
愛犬の肉球が冷たくいつもと様子が違う場合、病気の可能性も考えられるため、必ずかかりつけの動物病院で診てもらいましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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