老犬の聴力・視力低下 対策と心のケアについて解説
2024.12.30 (老犬ケア)
愛犬はかけがえのない家族の一員です。しかし、かわいらしい姿を見せる愛犬も、歳を重ねるにつれて聴力や視力が低下していくことがあります。
今回は、老犬の聴力・視力低下に気づいた飼い主さんに向けて、具体的な対策や心のケアについてご紹介します。
愛犬の残された時間を、より穏やかで幸せなものにするために、ぜひ参考にしてみてください。
■ 老犬の聴力・視力低下に気づくサイン
「もしかしたら目が見えなくなっているのでは?」と思うような仕草が愛犬に見られると、心配になるかと思います。
愛犬の聴力・視力低下は、以下のようなサインで気づくことができます。
【聴力・視力低下のサイン】
・近づいても気づかない
・いつもと同じ場所でぶつかる
・段差でつまずくことが増える
・暗いところを歩きたがらない
・散歩時に臭いを嗅ぎながら、ゆっくりと歩く
・表情が暗くなったように感じる
・名前を呼んでも振り向かない
これらのサインに気づいた場合は、動物病院で詳しい検査を受けてみましょう。聴力や視力低下の裏に、何らかの病気などが隠れている可能性もあります。
■ 聴力・視力低下に潜む病気
聴力・視力が低下する原因として、以下のような病気が考えられます。
【聴力低下の原因となる病気】
・外耳炎、中耳炎、内耳炎
・耳の腫瘍
・アレルギーや感染症による鼓膜のダメージ
・脳や神経の病気
【視力低下の原因となる病気】
・緑内障
・白内障
・進行性網膜萎縮
・ブドウ膜炎
・脳や神経の病気
老犬になると、健康問題は課題となります。日常の変化に大きな病気が潜んでいる場合もありますので、気になる症状が見られたら自己判断せずかかりつけ獣医師に相談しましょう。
■ 聴力・視力低下への具体的な対応方法
実際に聴力・視力が低下してきた場合、どのような具体策をとれば愛犬も飼い主さんも快適に過ごせるのでしょうか。
愛犬の聴力や視力が低下した場合でも、以下の工夫を取り入れることで快適に過ごすことができます。
【生活環境を整える】
・家具の配置を見直す
愛犬がぶつからないように、家具の配置を工夫しましょう。特に、角のある家具にはカバーをつけ付けるなどして安全性を高めましょう。
・照明を明るくする
視力が低下している愛犬は、暗い場所が苦手な場合があります。部屋を明るくすることで、愛犬に安心感を与えることができます。
・床に滑り止めマットを敷く
滑りやすい床材は、愛犬が転倒する原因になります。滑り止めマットを敷くことで、安全性を高めることができます。
・散歩コースを見直す
普段の散歩コースに段差や溝がないか確認し、安全な場所を選びましょう。特に舗装された道や公園など、障害物が少ない場所がおすすめです。
・床をたたいて近くにいることを伝える
聴力、視力共に低下している場合は、愛犬に触れる前に床をたたくなどして、振動で近くに人がいることを伝えるとよいでしょう。
【コミュニケーションを工夫する】
・声かけを意識する
愛犬がどこにいるか確認してから声をかけるようにしましょう。穏やかに話しかけることで、愛犬が安心感を持つことができます。
・触れる前に声をかける
近づいていることに気づかず、突然触ると驚いてしまうことがあります。必ず声かけを行い、安心感を与えてから触れましょう。
・ハンドサインを活用する
聴力・視力に頼らずにコミュニケーションが取れるように、幼犬の頃からハンドサインを教えるのも有効です。
老犬になってからも、簡単なジェスチャーを使うことで意思疎通を図れます。
【嗅覚を刺激する】
・おやつで誘導する
愛犬が大好きな匂いのするおやつを使って誘導する方法は、視力が低下している場合に有効です。
また、匂いのついたおもちゃを使って遊ぶことで、嗅覚を刺激しながら愛犬の好奇心を引き出すことができます。
・触れる前に声をかける
近づいていることに気づかず、突然触ると驚いてしまうことがあります。必ず声かけを行い、安心感を与えてから触れましょう。
以下にも聴力・視力低下のポイントを掲載していますので参考にご覧ください。
» 老犬の耳が遠くなったら。普段の生活で気を付けるべきポイント
» 愛犬の視力が低下しても お散歩を楽しむアイデア
■ 老犬の心のケアも必要
聴力・視力低下は、愛犬の心に大きな影響を与えることがあります。
今までできていたことができなくなってしまったことで、不安やストレスを感じている場合は、以下のようなケアもおすすめです。
・スキンシップを大切にする
普段からたくさん撫でたり、抱きしめたりして、愛情表現をしましょう。
・穏やかな声掛けを心がける
大きな声で叱ったり、急な動作をしたりしないように注意しましょう。
・一緒に過ごす時間を増やす
愛犬と一緒に過ごす時間を増やし、安心感を与えましょう。
・無理のない範囲で遊びを取り入れる
愛犬の体力に合わせて、一緒に遊ぶ時間を作りましょう。
■ 見えなくても聞こえなくても変わらない愛情を
愛犬の聴力や視力の低下は、飼い主さんにとっても辛い出来事かもしれません。しかし、適切なケアを行うことで、愛犬との残された時間を穏やかに過ごすことができます。
大切なのは、愛犬への変わらぬ愛情です。愛犬の目や耳が不自由になっても、毎日一緒に過ごす時間を大切に、共に穏やかな時間を過ごしてください。
もし、対処方法などに不安がある場合は、かかりつけの獣医師に相談し、無理のない範囲でサポートしてあげましょう。
(医療監修:獣医師 先崎直子)
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